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http //hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1359796957/ 優希「ほいっ、京太郎っ」スッ 京太郎「あん? なんだよこれ」 優希「わからんのか?」 京太郎「お前からの貰いもんなんて今まで一度もなかったろ」 優希「はぁ、これだから犬は」 京太郎「なんなんだよ。 気になる」 優希「……今日は2月2日。 だーれかさんの誕生日だじぇ」 京太郎「……あっ」 優希「わかったか? だから、ホレ」スッ 京太郎「まさか……俺の……誕生日プレゼント……?」 優希「うっ……さ、さっさと受け取る! そんな顔で見んな!」グイッ 京太郎「優希が……俺に……プレゼントを……」 京太郎「……うっ……ううっ……っ」 優希「きょ、京太郎? まさか……泣いて……」 京太郎「……っ!」 京太郎「優希いいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!!!」 ガバッ 優希「ぎょえええええええええええええええええええええ!!!???」 京太郎「うおおおおおお!! 優希いいいいいい!! うおおおおおおお!!!」 ギュゥウウウウウウウウウウウウ 優希「ぶっ! …ちょ、きょうた、おまっ、なにっ」 京太郎「おおおおおおおお前ってやつはああああああ!!!」 京太郎「いつもいつも俺をからかうぐらいしか脳が無いタダのタコス野郎だと思っていたが」 京太郎「こんなサプライズを俺にしてくれるなんてええええええあああああああああ!!!!」 優希「おち、落ちつ、きょうたろっ」 京太郎「俺は嬉しいぞおおおおおおおおおあああああああああ!!!」 スリスリスリスリスリスリスリスリスリスリスリスリスリスリスリスリスリスリ 優希「うひゃあっ!?」 京太郎「よぉおおおおおおおしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよし!!!!」 優希「ちょっ……なにやって……んっ……こらぁ……!」 京太郎「あああああああありがとなあああああああああ優希いいいいいいいいああああああああ!!!!!」 ――数分後 優希「……お、おのれ京太郎……まさかこんなにハレンチなやつだったとは思わんかったじぇ……!」 京太郎「ち、違うっ! 俺は喜びを表したくて……」 優希「だからって……だからって急に人に抱きつく奴があるかっ!!」 京太郎「それぐらい嬉しかったんだって!!」 優希「!!」 優希「……そ、そんな……大したもんじゃないじぇ……」 京太郎「プレゼントをくれるってこと自体嬉しいんだよ!」 優希「ん……なら……さっさと開ける……」 京太郎「おお、そうだ! 中身はなんだ!?」 京太郎「優希のことだしやっぱタコスか? それともタコ焼き? いや、タコ飯だったり!!」 優希「ううう、うっさい!! 黙って開けるじぇ!!」 京太郎「なにかななにかな~♪」 ビリバリッ 京太郎「こ……これは……!!」 キランッ 京太郎「……なんだこれ」 優希「……ネックレスだじょ」 京太郎「ネックレス?」 優希「……京太郎、あんまそういうの付けないし……。 に、似合うと思うし……」 京太郎「優希……」 優希「……こ、こっち見んな……」 京太郎「優希ぃ……!」 優希「……い、嫌な予感……」 京太郎「優希ぃいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!!!!」 ガババッッ 優希「だじぇえええええええええええええええ!!!!????」 優希「」 ギュゥウウウウウウウウウウウウ!! 優希「わぷっ! やっ、こらっ……」 京太郎「このやろおおおおおおお!! いつもはこんな気遣い見せねえくせによおおおおおお!!!」 京太郎「こんな時だけ気遣いマックスでよおおおお! お前はあああああああ!!!」 優希「やぁっ……きょうたろ……強いっ……」 京太郎「俺に似合うとかそんなこと思いながら買ったのかこんちくしょおおお!!!」 京太郎「そんな……そんなこと言われたら……!!」 京太郎「撫でるしかねえだろおおおおおおおおおおおおああああああああああああああ!!!!!!」 ナデナデナデナデナデナデナデナデナデナデナデナデナデナデナデナデ 優希「ふひゃぁ!!?」 京太郎「よおおおおおおおおおおおし!!! よしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよし!!!!!」 ナデナデナデナデナデナデナデナデ 優希「ああぁ……やめ……やめてぇ……////」 京太郎「これかっ!? これがいいんかあああああああああああ!!!!!!!!」 優希「あう……うぁ……きょうたろぉ……おまえ……おまえぇぇ……」 京太郎「くぅうううううううう!! このやろっ! このやろっ!!」 ギュゥウウウウウウウウウウウウ 優希「ふぁああああああああああ……!」 優希(なんだじぇこれ……京太郎に抱かれて……頭ナデられて……) 優希(体の奥底が……ポカポカしてくる……うわ……うわわわわ……) 京太郎「ありがとな!! ありがとな!!! 毎日これ付けてくるからな!!!」 優希「うぁ……ああぁ……」 京太郎「そんで、道行く人皆に『これ、友人から貰ったんスよwwwww』って自慢しまくってやる!!!!」 優希「……そんな……やめてぇ……」 京太郎「優希!! 優希ぃいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!!!!」 ギュゥウウウウウウウウウウウウ !!!!!!! 優希(そんな……っ! 今そんな強く抱かれたら……アタシアタシ……!) 優希「!!」 優希(体が……シビれ……っ!?) ビクンッ 優希「―――ッ!」 京太郎「……おっ?」 優希「―――……っはぁっ……はぁ……はぁ……」 京太郎「……だ、大丈夫か? ちょい、やり過ぎたか?」 優希「……だ、だいじょ……うぶ……」 優希(……じゃ……ないじぇ……) バタンッ ―――― ――― ―― ― 京太郎「優希? ……おーい?」 優希「……ぁ……ぁぁ……」 京太郎「……あぁ、またやっちまった……」 ??「もう。 感極まるのはわかるけど、程々にしなきゃ駄目だよ? 京ちゃんっ」 京太郎「えっ」 京太郎「……さ、咲っ!和も!」 咲「ムフフフ……」 和「な、なにやってたんですか? 優希が凄いことになってますけど……」 京太郎「あ、ああ。 これは俺のせいで……」 咲「ちょっとした貧血じゃないかなっ? それを介抱してたんだよね?」 京太郎「さ、咲?」 咲「シーッ……」スッ 京太郎「……?」 咲「とりあえずこの場は、ね?」ボソッ 京太郎「あ、ああ……」 和「優希が? ……貧血を起こしたことなんて一度も無いのに……」 咲「女の子だもんっ、色々あるんだよっ」 和「……そ、そうですか……」 京太郎「と、とりあえず。 優希を仮眠ベッドに……」スッ 京太郎「そういえば部長とまこ先輩は?」 咲「部長は生徒会のお仕事。 染谷先輩は今日バイトだってさ」 和「部長が来るまでは各自自主練、とのことです」 京太郎「そっか。 じゃあ俺は優希看てく……」 咲「ちょっと待った。 和ちゃん、京ちゃんに何かあるんでしょ?」 京太郎「えっ」 和「……あ、はい、そうでした。 ……須賀くんに……」ゴソゴソ 和「これをっ」スッ 京太郎「……これは……」 和「はいっ」 和「誕生日プレゼントですっ」ニコッ 京太郎「和が……俺に……?」 和「誕生日おめでとうございます。 これからも、同じ部の一員としてよろしくお願いしますねっ」 京太郎「……っ……っ……」 咲「良かったね、京ちゃん! ほらっ、中身開ける開けるっ!」 京太郎「あ、ああ……!」 バリバリッ 京太郎「こ、これは……これはぁ……!」 京太郎「……『おしえて!科学する麻雀』……」 和「須賀くんが麻雀部の一員になって随分経ちますけど、失礼ながら、須賀くんはまだまだ初心者の打ち手」 和「本当なら実際に打って鍛えるのが一番ですが、残念ながら須賀くんにはあまり打つ機会がありません」 和「ですので、私が今まで読んだ麻雀参考書の中で一番良かったものを差し上げますっ」 京太郎「これを……俺に?」 和「はいっ。 それを読んで、少しでも上手い打ち手になってください」 和「そして……私達と一緒に打ちましょう?」 京太郎「……和……っ!」 京太郎「俺のために……こんな……こんな……」 咲「だってさ、京ちゃん! ねえねえ、どうするどうする?」 京太郎「どうする……って……?」 京太郎「……どうするって言ったら……」 咲「どうするって言ったら?」 京太郎「どうするって……」 スッ 和「……須賀くん?」 京太郎「抱くしかねえだろおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」 グワバッ 和「えっ、えええええええええええええええええええ!!!???」 ギュムッ !! 京太郎「ぬあああああああ!!! 和!!! のどかぁあああああああああああああああ!!!!!!!」 和「す、すがく、え、ええええええ!!?」 ギュムゥウウウウウウウウウウウウウウウウウウ 京太郎「うおおおおおおおおお!!! ありがとおおおおおおおおお!!! ありがとうぉおおおおおおおおあああああ!!!」 京太郎「お前がこんなに天使だなんて知らなかったよおおおおおうわあああああああ!!!」 京太郎「心の中でいつも『ああ、やっぱ和は男なんてアウトオブ眼中の レズ淫ピなんだな』なんて思ってごめんよおおおおおおああああああ!!!!」 京太郎「いいこじゃんっ!! めっちゃくちゃいい子じゃん!!!! 誰だよ和のこと淫ピ言った奴出てこいよ!!! ぶっとばしてやるわぁああああああ!!!!」 和「な、なに言って……」 京太郎「んもぅ、のどっち大天使!! いい子いい子!!!!」 ナデナデナデナデナデナデナデナデ !!! 和「ひゃっ、な、なんで撫で……ふぁっ……」 京太郎「いい子いい子いい子いい子いい子いい子いい子いい子いい子いい子!!!!!!!」 ナデナデギュムギュム ナデナデギュムギュム 和「んっ……あっ……ああっ……!」 和(す、須賀くん……こんなに喜んでくれるなんて……) 和(嬉しいと言われたら嬉しいけど……これはちょっと……激しすぎっ……んくっ……!) 和「も……もう、十分でっ……すがくっ……やめっ……」 京太郎「いい子いい子いい子いい子いい乳いい子いい子いい子いい子!!!!」 ナデナデナデナデナデナデナデナデ ギュゥウウウウウウウウウウウウ 和「んっ……やっ……なにこれっ……んんっ……!」 和(撫でられてるだけなのに……気持ちいい……) 和(それに……心の底から……ホッとする……。 どうして……?) 和「あぁ……ああぁ……これっ……これぇ……!」 京太郎「うおああああああああ!!!! この本を聖典としてやるぅううう!!! そんで毎朝毎晩拝んで生きるわあああああああ!!!!」 ギュゥウウウウウウウウウウウウ 和「あ……。 あっあっあっ……あっ……っ!!」 和(そんなに強く抱かれたら……私……!!!) 和「―――っ、ああっ!!!」 ビクンッ.... 和「あっ……あぁ……あぁぁぁ……」ズルッ クタリ..... 京太郎「……ハッ!! 何やってんだ俺は!!?」 咲「あーあ……またやっちゃったねぇ。 感極まり過ぎ」 京太郎「わ、悪い……。 で、でも、まさか和からプレゼントがもらえるだなんて……」 京太郎「う、うおお……うおおおおおおおお!!!! 和ぁあああああああああ!!!!!」 ギュゥウウウウウウウウウウウウ 和「んんはぁっ!?」 ビクンッ 京太郎「あっ」 咲「もう……追い打ちかけないの。 駄目じゃない、京ちゃん」 京太郎「す、すまん……」 咲「……むふふっ。 相変わらずだね、そのハグ癖っ」 京太郎「最近嬉しいことなかったからなぁ……。 今の時期だと、ついやっちゃうんだ」 咲「最近は大人しくなってきたからちょっと残念だったけど……ふふ、久しぶりに見れたなぁ」 京太郎「と、とりあえず和を仮眠ベッドに……」 咲「仮眠ベッドは優希ちゃんが使用済みだよ?」 京太郎「……優希はロッカーに入れて、と」 咲「いいねっ」 京太郎「ふぅ……」 咲「……いつ頃からだっけか。 そのハグ癖」 京太郎「ん……。 初めてが咲だったから……中2,3の頃かなぁ」 咲「そっかぁ。 あれからそんなに経つのかぁ……」 京太郎「懐かしいなぁ」 咲「覚えてる? 私の初めての時」 京太郎「そりゃあ覚えてるよ。 あれほど嬉しいこと、忘れるわけがないさ……」 ………。 ――2年前。 京太郎、咲。中学2年の時。 咲「きょうちゃーんっ!」 京太郎「んー? あ、咲」 咲「みてみてー! お花、咲いたの!」 京太郎「咲だけに花『咲く』ってか。 なんの花?」 咲「Phalaenopsis」 京太郎「は?」 咲「だから、Phalaenopsis」 京太郎「ファ?」 咲「ファレノプシス! 胡蝶蘭のこと!」 京太郎「あ、ああ、胡蝶蘭ね。 専門用語で言われてもわかんねーよー」 咲「えへへ。 どう? 知的に見える?」 京太郎「すっげー、咲さんちょーちてきー」 咲「む、むー!」 京太郎「ハハハッ」 京太郎「それで? そのコチョーランが咲いたって? 咲はホント花好きだな」 咲「うん! お花大好きだよ!」 京太郎「……でも、ピンクの胡蝶蘭?普通は白じゃないのか?」 咲「ピンク色の胡蝶蘭もあるんだよっ。 他にも、青色なんかもあるしっ」 京太郎「ふぅん」 咲「……そ、それでね? ……その……」 京太郎「?」 咲「京ちゃん……今日、誕生日でしょ?」 京太郎「え? ああ、そうだけど……」 京太郎「……あれ? 俺お前に言った覚えあったっけ?」 咲「きょ……京ちゃんのことならなんだって解るんだよっ」 京太郎「へ、へぇ……すげぇなぁ」 咲「だから……。 ……ハイッ! 誕生日、おめでとう!」 京太郎「う、うん。 ありがとう」 咲「えへへ……」 京太郎「……な、なんか、気恥ずかしいな……」 咲「そ、それでね。 胡蝶蘭の花言葉、知ってる?」 京太郎「い、いや?」 咲「……白い胡蝶蘭の花言葉は、『清純』。 青い胡蝶蘭の花言葉は『幸福をアナタへ』」 咲「そして……ピンク色の胡蝶蘭は……」 京太郎「……ピンクは?」 咲「……耳、貸してっ!」グイッ 京太郎「うおっ」 咲「……『あなたを愛します』……なんだって」ボソッ 京太郎「えっ」 咲「……」スッ... 京太郎「咲……お前……」 咲「……///」 京太郎「……」 咲「……そ、そういうことだからっ!」 京太郎「……っ……っ」 咲「そ、それじゃね……」 京太郎「……っ!」 ギュッ 咲「ふぇ?」 京太郎「……咲……っ!」 咲「きょ、京ちゃん? だ、駄目だよ……ここ、道路の真ん中……」 京太郎「咲……咲……っ!」 咲「……きょう……ちゃ」 京太郎「咲ぃいいいいいいああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!」 ギュゥウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ 咲「ひゃわあああああああああああああああああ!!!!?????」 京太郎「咲ぃいいいいい!! お前!! お前ぇえええええあああああああ!!! 」 京太郎「いじらしすぎるわぁああああああああああ!!!!!!」 京太郎「なんだよ!! 花言葉で告白とか90年代の告白かよ!!! お前本当に中学生かよ!!!!!」 京太郎「素直に可愛いわぁああああああああああああうあうあうあうあうあうあうあああああ!!!!!!」 ギュゥウウウウウウウウウウウウ !!! 咲「はわ……はわわわわわわわわ……」 咲(あわ、あわわわわわわ……京ちゃんが……京ちゃんが京ちゃんが京ちゃんがぁ……) 咲(なにこれ……心が満たされてく感じ……。 京ちゃんに抱きつかれてるのに……気持ちいい……) 京太郎「お前の可愛さに俺もう脱帽だよ! 将来魔王になるんじゃないかと心配だよ!! それぐらい可愛いわああああああああああああ!!!!!!!」 京太郎「このやろっ! もう堪らん! 頭なでまくってやるわああああああああああああ!!!!!!」 ナデナデナデナデナデナデナデナデナデナデナデナデナデナデナデナデ 咲「あ……あっ……あああっ……」 咲(こんなの……幸せ……。 幸せ過ぎるよぉ……!) ビクンンッ!!! 咲「――っ!!! ……っはぁ……はぁ……」 京太郎「!! ご、ごめん咲! 痛くなかったか!?」 咲「はぁ……。 きょ、きょうちゃん……きょうちゃぁん……」 京太郎「だ、大丈夫か!? ちょっと待ってろ、今、お母さん呼んで……」 ギュゥ.... 京太郎「!? さ、咲!?」 咲「……ゃだよぅ……離れちゃ……いやぁ……」 京太郎「……さ、咲……」 咲「もっと……もっとぉ……!」 咲「もっと強くしてぇ……京ちゃぁん……」 京太郎「!!!」 京太郎「さ、咲ぃいいいいいいいいいいいいいいいああああああああ!!!!!!!!!!!!」 咲「京ちゃぁあああああああああああああああああん!!!!!」 ギュゥウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ!!!!!!!!! ――― ―― ― 京太郎「……今思うと……なんかとんでもないことしてた気がする」 咲「ふふふっ……。 あの時の京ちゃん、激しかったなぁ……」 京太郎「……うおぉ……恥ずかしい」 咲「ふふふっ」 咲「そーんなわけで! ハイ、京ちゃん! 誕生日おめでとう!」 京太郎「ん、おう。 いつもありがとな」 咲「えへへ。 渡すのはこれっ!」 スッ 京太郎「これは……確か……」 咲「そう! Myosotis scorpioidesだねっ!」 京太郎「いや、わからんから」 咲「勿忘草だよ。 今年も綺麗に咲いたなぁ」 京太郎「ワスレナグサか。 綺麗なもんだな」 咲「勿忘草と言えば、名前の通り、どこか寂しげなイメージを感じさせがち」 咲「だけど、とても綺麗な花言葉を持ってるんだよ」 京太郎「……というと?」 咲「有名なのは『真実の友情』とか、『誠の愛』とか」 京太郎「へぇ……」 咲「だけど、京ちゃんに伝えたいのはもう1つの意味」 京太郎「……」 咲「……『私を忘れないで』 ってね」 京太郎「!」 咲「そして、こっちも」 京太郎「これは?」 咲「Snowdrop。 待雪草だよ」 京太郎「マツユキソウ……」 咲「花言葉は……『希望』」 京太郎「……ほう」 咲「……京ちゃん。 確かに京ちゃんは仲間はずれになりがちかもしれない」 咲「ウチの麻雀部は京ちゃん以外は皆女子だし、合宿にだって一緒にはいけない」 京太郎「……」 咲「だけど、忘れないで。 私がいるよ」 京太郎「咲……」 咲「孤独を感じそうになったら、いつでも私に言って。 スグに京ちゃんの元に駆けつけるから」 咲「だから……。 ……希望を忘れないで」 京太郎「咲……!」 咲「……改めて、誕生日おめでとう。 ……京ちゃん」 京太郎「咲……っ。 俺……俺……っ!」 咲「……いいよ。 ……おいで、京ちゃん」 咲「優しく、してね?」 京太郎「咲ぃいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!!!!!!!!!」 ガバッ ―――― ――― ―― ― 咲「はぁ……はぁ……」 京太郎「ふぅ……ふぅ……」 咲「や……優しくして……って言ったのに……」 京太郎「ご、ごめん……ホント、久々だったから……」 咲「……ふふっ。 でも、嬉しかったから……いいよ」 京太郎「咲……」 京太郎「なんかもう、一生分くらいハグした気がする」 咲「む、駄目だよそんなの。 京ちゃんにはまだまだハグして撫でてもらうんだから」 京太郎「マジかよ」 咲「とりあえず、私の誕生日までは毎日ねっ!」 京太郎「……は、半年以上……」 咲「むふふっ」 咲「……ところで京ちゃん。 私、今年で16になるんだけど」 京太郎「……そりゃそうだろ」 咲「……16歳になるんだよ?」 京太郎「?」 咲「……」 咲「結婚できる年齢になったんだよ?」 京太郎「あっ」 咲「……ふふっ」 京太郎「……っ……っ」 咲「私の誕生日プレゼント、期待してるからね?」 京太郎「……さ、咲……!」 咲「……待ってるから、京ちゃん」 京太郎「!!!」 和「ん……私、なんで寝て……」ムク... 優希「誰だアタシをココに入れたの!! ロッカーは部長だろうがぁ!!」ドガァ 久「ごめん皆! 生徒会の仕事で遅れたっ!」ガチャッ まこ「おっす」 京太郎「咲ぃいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!!!!!!!!!」 咲「京ちゃぁああああああああああああああああああん!!!!!!」 ギュゥウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ!!!!!!! 和「 」 優希「 」 久「 」 まこ「おっす」 ―カンッ
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http //hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1344166800/ 京太郎「おーっす!あれ?」 和「すぅ……」zzz 京太郎「和は寝てて、みんなはまだ来てない」 京太郎「てことは今がチャーンス!!……なんてな!」 京太郎「コーヒーでも入れるか」 京太郎(それにしても、ぬいぐるみ抱きしめて寝てる和……かわいいなあ……) ???「そんなに和が気になるペン?」 京太郎「お、マジかよ!じゃあ頼む……ん?」 京太郎「俺今誰と話してたんだ……?」 エトペン「ボクだよ!ボク!」 京太郎「」 京太郎「……つまりお前はぬいぐるみの癖に意思を持ってて、話す事ができると……トイストーリーみたいだな」 エトペン「そういう事ペン!それで物は相談なんだけど、ボクとキミの身体を交換しないかい?」 京太郎「またワケのわからんことを……」 エトペン「さっき、ボクと代わりたいって言ってただろ?交換すれば、和に抱きしめられることになるペン!」 京太郎「お前、そんな事も出来るのかよ?ちょっと信じ難いぜ」 エトペン「出来るんだな、これが!どうだい?」 京太郎「うーん……和に抱きしめられるというのは最高だけど、お前にメリットがないじゃねえか。なんか怪しいんだよなあ」 エトペン「いや実は……気になるコが居てさ、人間の体を借りて話してみたいんだペン!」 エトペン「変な事はしないから大丈夫だって、平気平気!」 京太郎「ぬいぐるみの癖に生意気なヤツだな……まあいいや、騙されたと思って乗ってやるよ」 エトペン「話がわかる!よーし、交換するペン!」 ででどん! 京太郎「あ、あれ……ここは」 エトペン「上手くいったペン!」 京太郎「お、俺が俺の目の前に立ってる……!」 エトペン「いやー、人間の体は新鮮だペン!目線が高いっていいな!」 京太郎「という事は……この暖かい場所は和の体!頭の上の柔らかいのは……ごくり」 エトペン「はは、満喫するペン!じゃあボクはちょっと出掛けてくる。魔法は今夜の12時に解けるから気をつけるペン!それじゃ」 京太郎「おっと、俺の体であんま好き勝手しないでくれよ!……行っちまった、大丈夫かな……」 京太郎「ああ、静かだ……陽が差してあったかい……」 京太郎「何だか変な感じだ……和に抱きしめられてるのに、むしろ落ち着く……」 京太郎(女の子って柔らかくてあったかくていい匂いなんだな……) 京太郎(揺り籠みたいに体がゆっくり動くから……だんだん眠く……) 京太郎(赤ちゃんの時を思い出すような……) 和「すぅ……」zzz 京太郎「……」zzz その頃 エトペン「ついに手に入れた……!念願が叶った!」 エトペン「この日をどれほど待ち望んだか……」 エトペン「京太郎の体を好き勝手に弄べる日を!!」 エトペン「すごい……すごいよ京太郎……!興奮してギンギンになってるのが分かる!」 エトペン「なんていやらしい体なんだ!!」 エトペン「ああ……大きい……グロテスクで……熱いよ京太郎!はあはあ……!」 エトペン「ああイきそうだよ!京太郎!君はオレにイかされちゃうんだよ!?はあ……!エッチなミルクいっぱい出しちゃうよ!?」 エトペン「京太郎!京太郎!京太郎!京太郎!!!」ドピュッドピュッ エトペン「ああっ…!はあ…!こ、これが京太郎のミルク……!全部飲んじゃうよ!?ごくっ……」 エトペン「にがい……!京太郎のせーし、オレの喉に絡みついてるよ……!!」 エトペン「また興奮してきた……!!まだイくよ!京太郎……!」 その頃 ハギヨシ「頼まれた仕事に思ったより時間がかかってしまいました、早く帰らなくては……ん?」 ハギヨシ「あのトイレから呻くような声が聞こえました……まさか怪我人では……?」 ハギヨシ「様子を見に行ってみましょう」 ハギヨシ「大丈夫ですかー?」 エトペン「うおおおおお!京太郎ーー!うおおおお!」シコシコ エトペン「京太郎みるく出るううううう!!!」ドピュドピュ ハギヨシ「」 エトペン「うおおお…お!?」 ハギヨシ「」 エトペン(ま、まずい!こいつは確か龍門渕のハギヨシ……何故ここに!?) エトペン(しかも今のオレは、傍目から見たら自分の名前呼びながらイく変態じゃないか……!) ハギヨシ「わ、私は何も見ませんでした……それでは」 エトペン(仕方ない、口封じだ!)ガシッ ハギヨシ「えっ!ちょ、離して下さい!」 エトペン「暴れんなよ!暴れんな!」 ハギヨシ「京太郎さん!まずいですよ!」 エトペン「いいだろハギヨシ!!はむっ」 ハギヨシ「う、うもう……ちゅっ……ぷはあ……誰か……!」 エトペン「よし!じゃあぶち込んでやるぜ!」 ハギヨシ「誰か助けて……!」 京太郎(あれ……眠ってた……) 優希「リーチだじぇ!!」 和「通しませんよ」 優希「んあっー!のどちゃん意地悪だじぇ……」 咲「そういえば京ちゃんは?」 まこ「まだ来とらんようじゃのう」 久「でもここに鞄が置いてあるわ、一度は部室に来たみたいね」 咲「どうしたんだろ?」 京太郎(ここで喋るわけにもいかないからなあ……) 京太郎(それにしても、ぬいぐるみの視点になると色々新鮮だな……タコスでさえ大きく見える) 優希「のどちゃん、ちょっとエトペン貸してー」 和「いいですよ」 京太郎(そしてただでさえ大きい和の胸が頭の上に……ん?) 京太郎(た、タコスの奴何て事を!離せぇ!) 優希「今日もエトペンはかわいいじぇ……あれ?」 優希「なんか今日はにくたらしい顔してる気がするじぇ……」グニグニ 京太郎(ちくしょう、覚えてろよ……) 京太郎(でも、こういう何気ない日常って、いいもんだよな……) エトペン「ほら、気持ちいいだろハギヨシ!!」パンパン ハギヨシ「気持ちいいですうううう!あっ!もっと、もっと突いてくださあああい!あっ!あっ!」 エトペン「ホラホラホラホラ!!もっと鳴けよ!!パンパン」 ハギヨシ「オォン!アォン!も、もう……イっちゃいますう!」 エトペン「いいよ!こいよ!」パンパンパンパン ハギヨシ「イきますうううう!!」ドビュルルル エトペン「お、オレも……ヌッ!!」ドピュドピュドピュ エトペン「ハア……!ハア…!つい夢中になっちまったぜ……京太郎の体と二人きりのはずだったのに……」 ハギヨシ「京太郎さあん……もっと…もっと下さい……」 エトペン「離せよこのホモ野郎!」ペチン ハギヨシ「オフッ」ビクンビクン エトペン「家に戻ってシャワー浴びよう……体洗わなくちゃ……」 エトペン「って京太郎の姿じゃ和の家に戻れないじゃん!どうしよう」 エトペン「学校にシャワー室無いかな、行ってみるか」 ハギヨシ(フフ……逃がしませんよ……) 京太郎(あーあ、動くに動けないし、タコスのペタンコな体じゃドキドキもしねーや……ふああ) 優希「今どこかで悪口言われた気がするじぇ……」 京太郎(今日の12時だっけか、効果が切れるの……ん?) 京太郎(待てよ?てことは……和の家に行く事になるのか!?) 京太郎(着替えとか見られるかもな、へへへへ……おっといかんいかん) 部長「あら?あそこ歩いてるの須賀くんじゃない?ほら、そこ」 咲「あ、本当だ……あそこって部室棟ですよね?」 部長「どうしたのかしらね、兼部はしてないはずだけど」 優希「咲ちゃーん、もう一回勝負だじぇ!」 咲「あっ、うん」 京太郎(あいつ何やってんだ?……ま、かわいいおもちゃのやりたい事なんてたかがしれてるよな、ほっとくか) エトペン「思ったとおりだ!運動部のシャワールームがあった」 エトペン「誰もいないし、早速体洗おう」 サッー! エトペン「Foo↑キモチイー!シャワーっていいもんだな……」 エトペン「それにしてもエロい体だなあ……自分で自分のにしゃぶり付きたいくらいだ……京太郎……」 エトペン「京太郎のおちんちん……おっきくなってる……オレの手で興奮したんだね……」 エトペン「なんかすげえムラムラしてきた……誰もいないよな?……よーし」 ガチャッ モブ部員A「ぬわああああん疲れたもおおおおん」 エトペン(やべっ!) モブ部員B「すっげーきつかったゾ」 モブ部員C「シャワー浴びてすっきりしましょうね」 エトペン(……仕方ない、ちょっと待つか) モブ部員B「あ、そうだ、おい木村ァ!お前さっき俺たちの試合チラチラ見てただろ、熱心じゃねえか」 モブ部員C「いやそんな……/////」 モブ部員A「そういえばお前さっきさ、試合に負けそうな時なかなか諦めなかったよな、えらいぞ」 ハギヨシ「そうだよ(便乗)」 モブ部員C「やめてくれよ……(照れ)、そろそろ出ますね」 モブ部員B「お!待てい!俺たちも出るゾ」 モブ部員A「ビール!ビール!冷えてるかー!」 ガチャッ エトペン「……よし!これで京太郎の体と二人きり……うへへ」 エトペン「はあ……!いいよ!気持ちイイ!あっ!あんっ!」シコシコ ハギヨシ「気持ちいいですか?」 エトペン「気持ちいいよ!出る!出る!」 エトペン「……って何でここに居るの!?」ドビュッ ハギヨシ「ふふっ……いっぱい出ましたね……ひどいじゃないですか、僕の心を奪っておいて逃げるなんて」 エトペン(うわこいつホモだよやべえ……逃げなきゃ(使命感)) エトペン「お、オレはお前に興味なんて無いから!」 ハギヨシ「つれない貴方も好きですよ……/////」 エトペン「オレが悪かった!だから離せ!」バタバタ ハギヨシ「さあ、愛し合いましょう……!」 咲「結局京ちゃん来なかったね……」 優希「サボった罰はタコスの奢りだじぇ!!」 京太郎(いつも奢ってやってるだろ!!) 和「きっと明日は来ますよ、何か用事でもあったんでしょう」 咲「うん……鞄置いてきちゃったけど、いいのかな」 京太郎(わ、忘れてた……!宿題が……うう) 和「それでは、私はここで」 咲「また明日ね!」 優希「ばいばーい!」 京太郎(ドキドキ……いよいよ和の家に潜入…!) 京太郎(エトペン!お前ってヤツは最高だぜ!) ハギヨシ「京太郎さん!好きだ!もっと僕のモノで感じて下さい!!」パンパン エトペン「ちくしょう……!オレの京太郎の体が……!こんなヤツにいい!」ビクン ハギヨシ「恥ずかしそうな顔が!すっごくセクシーですよ!!衣様にお見せしたいくらい!」パンパン エトペン「あん!あっ!あん!アーン!!」ドピュッ ハギヨシ「京太郎さん、ミルク出しちゃうくらい感じてくださってるんですね……大好きですううう!」ドピュッドビュルルル エトペン「オレの京太郎がああ!アン!ああん/////」ビクンビクン ハギヨシ「イき過ぎィ!イくイくイくイく……ンアッーー!」ドビュルルルルル 京太郎(や、やべえええええ!寝てる和に抱きつかれて、ベッドの上、二人きり!!) 京太郎(帰ってきて、着替えとか、私服とか、普段見せない顔とか見ちゃって、ドキドキが最高潮のタイミングで……やばい!) 京太郎(ってもうすぐ12時じゃん!?触るか!?いやダメだろ!えっでも今触らないと……どうする!?) 京太郎(いや落ち着け俺!落ち着いて……うひょおおおおおおっぱいおっぱい!……ん?) 和「むにゃむにゃ……みんなで……ゆうしょう……」zzz 京太郎(……) 京太郎(自分という人間が恥ずかしくなってきた……結局今日は麻雀の練習してないし……) 京太郎(……もう後1分で12時か……さよならだな) 京太郎(和……頑張れよ、応援してるから)ギュッ ででどん! 京太郎(……戻ってきた……) 京太郎(結局何も出来なかったな……ま、いいか!) 京太郎「それにしても夢でも見てたみたいだ……トイレ行って寝よ……あれ?」 ハギヨシ(全裸)「ふふ……きょうたろうさん……だいすき……むにゃむにゃ」zzz 京太郎(全裸)「」 エトペン「あー気持ち良かった(ぺ並感)」 エトペン「でも京太郎大丈夫かなー、あいつと一緒で」 エトペン「もしかして怒ってるかな……オレのこと」 エトペン「無いか。寝よ寝よ」 次の日 京太郎「和、ちょっとお願いがあるんだが……」 和「?何ですか?」 京太郎「エトペン、ちょっと貸してくれないか?」 京太郎友達の妹の誕生日プレゼントで、それと同じぬいぐるみを探してるんだけど、似たのが幾つかあって……」 京太郎「友達に見せてみたいんだ」 京太郎(苦しいな……) 和「わかりました。どうぞ」 京太郎「わりいな、サンキュ……」 和「あの……顔色悪いですけど、大丈夫ですか?」 京太郎「えっ……だ、大丈夫……夕方には返すから」 京太郎「あのさぁ」 エトペン「きょ、京太郎!どうしたペン!?顔色がすっごく悪いペン!保健室行った方がいいペンよ!?」 京太郎「おい」 エトペン「はい」 京太郎「気が付いたらさ、龍門渕の天江衣の家のベッドにいたんだよ」 エトペン「はい」 京太郎「隣に裸のハギヨシさんも居たんだよ、あれどういう事だよ」 エトペン「ぼ、僕は何の事かわからないペン!!僕はただ…」 京太郎「おい」 エトペン「はい」 京太郎「俺はさ、お前に感謝してたよ?知らない和を見られたし、いろいろいい思いが出来たし」 京太郎「だからお前が気になるコってのとうまくいくといいなって、思ってたよ」 エトペン「はい」 京太郎「もし、それがハギヨシさんって知ってたら、俺だって協力したよ……」 京太郎「ぬいぐるみと人間の恋なんて、突拍子もない話だけどさ……」 京太郎「何もこんなやり方しなくたってさ……」グスッ エトペン(……) エトペン(あれ?これ誤魔化せるんじゃね?) エトペン「……ごめん京太郎、ぼくは、キミにひどい事をしてしまった……その事については、悔やんでも悔やみきれないペン」 エトペン「最初に彼に出会って、腕を直してもらって……運命の出会いだったペン」 エトペン「だから、君を利用して仲良くなろうなんて、馬鹿げた考えをいつしか持ってしまったペン」 エトペン「所詮、偽りの愛でしかないのに……」 京太郎「……」 エトペン「ぬいぐるみは……結局、人間とは愛し合えないのさ……」 京太郎「あのさ……」 エトペン(かかった!) 京太郎「素朴な疑問なんだけど、何で女の子狙わなかったの?俺男でハギヨシさんも男じゃん」 エトペン「ファッ!?」 京太郎「何で?」 エトペン(やべえよ……やべえよ……ん?) ハギヨシ「京太郎さあああああああん!!見つけましたあああ!」 京太郎「うわ見つかった!!おいエトペン!お前一人で部室戻ってろ!」ダダダッ ハギヨシ「待ってください!二人で愛し合いましょう!!」 京太郎「うわあああ!」 エトペン「……行ってしまった」 エトペン「今回は何事もなく終わったけれど、オレは絶対に諦めない!」 エトペン「京太郎をオレのモノにするまでは!!」 おわり
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シロ「…京太郎?」 京太郎「すぅ…Zzz」 胡桃「寝てるね」 塞「最近、忙しかったからね…私達が受験だからって色々と雑用とかに専念してくれてたし」 エイスリン[皆で寝ている絵] シロ「私も……寝る」 抱き… 塞「ちょっと、シロ!」 胡桃「なら私も…」 モゾモゾ…←こたつの中にはいり京太郎の上にでてきて抱きつく エイスリン「わ、ワタシモ…」 ダキ←シロと反対側から抱きつく 塞「え、え!?皆がやるなら私もやらないとな」 京太郎の頭を膝枕する 塞「あっ、眠たくなってきた…」 シロ「……おやすみ」 エイスリン「…zzz」 胡桃「zzz…」 ーーーーー 豊音「みんな?、遅れてごめん…あれ、皆寝てるの?」 全員「「…zz」」 豊音「ぼっちは嫌だよ…」 バサ…コートを脱ぎ 豊音「これなら温かいよ……」 シロを後ろから抱きしめて京太郎の手を握る。 ーーーーーーー 京太郎「…起きたら天国だった…上を見たら塞さんのおもちがあって、しかも膝枕されていて。お腹を見ると胡桃さんが寝ていて、左にはエイスリンさん。右はシロさんと豊音さん…豊音さんに関しては恋人繋ぎだし……これはラッキーだな」
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クリスマス当日 智美(サンタコス)「ワハハ、みんなー、サンタさんがプレゼント持ってきたぞー」 子供ABC「わーい!」 智美「こらー、ちゃんと順番通り並ばないとダメだぞー?」 京太郎(トナカイコス)「…………」 子供D「トナカイさんー、トナカイさんってなんて鳴くのー?」 京太郎(トナカイコス)「――――トナカイッ!」(野太い声で 子供D「ひっ……」(ビョク 智美「須賀君、いくらなんでもそれはヒドイぞー」(メッ 京太郎(トナカイコス)「痛いっ!?」 クリスマス三日前 京太郎「ハ……バイトの手伝いですか?俺が?」 智美「ワハハ、そうなんだな。幼稚園を訪問してプレゼント……まー、お菓子の詰め合わせなんだけと、それを配るアルバイトの人手が足りなくてなー」 京太郎「鶴賀の他の人には頼んだんですか?」 智美「ゆみちんやモモは一緒に出掛けるって言ってたし、佳織やむっきーは当日予定があるらしいぞ。ワハハ、みんな薄情だー」 京太郎「まあ仕方ないですよ、クリスマスといったら一年でも指折りのイベントですし。……それで、あの、なんでアルバイト手伝う話が俺に振られてるんでしょーか?」 智美「子供たちに配るお菓子を買ってた時に偶然、清澄の部長……元部長に会ってなー。手が足りないこと溢したら、荷物持ちに適任だって紹介してくれたぞー」 京太郎(またかっ、またあの人が原因なのか……!!) 智美「『須賀君のことだから、クリスマスは部屋でネット麻雀の大会にでも出て、最多跳び賞もらうぐらいしか予定ないから、誘っても無問題よ♪』って言ってたぞー」 京太郎「……本気でロッカーの中に押し込んで話つけてやろうか、あの人」 智美「ワハハ、なんでロッカーかはわかんないけど、犯罪臭がするから自重しといてほしいぞ……」 京太郎「まあ、元部長の言う通り、クリスマスの予定なんて何もないんですけどね……」 智美「ちょっと意外だなー、普通にモテそうな感じなのに」 京太郎「ハハハ、それを言うなら蒲原さんだって、元気があって可愛らしいからモテてそうですけど」 智美「ワ、ワハハ、私はほら、チンマイし女の子っぽくないから」 京太郎「いやいや、そんなことないですって」 智美「――――とっ、とにかく、クリスマスのアルバイトの手伝い頼んだぞー!」(ダダダ 京太郎「あっ!?蒲原さん……蒲原さーーーん!?」 京太郎(トナカイコス)(…………で、なんか流れに身を任せたら、トナカイのコスプレしてお菓子の詰まった袋を担ぐ羽目に) 智美(サンタコス)「よーし、あと一つで仕事は終わりだなー。おやつの時間に間に合わせなきゃだから、少し急ぐぞー?」 ―――ギャキキキキキキキッ! 京太郎(トナカイコス)(…………ゲキリュウニミヲマカセドウカスル)(ユクゾッ ――――そうして、頭文字にアルファベットが付きそうな智美のドラテクを堪能しつつ、子供たちにプレゼントを配り終えた京太郎を待っていたのは―…… 智美「…………須賀君、ちょっと時間いいかー?寄りたいとこがあるんだ」 京太郎「ええ、別に構いませんけど……?」 どこか思い詰めた表情の智美を不思議に感じながらも頷く。 比較的安全運転で連れていかれた寄りたいところは、鶴賀の近くにある小さな公園。 公園中央、ポツンといつ来るとも知れぬ子供を待つ錆の浮いた古い遊具が物悲しさを誘う。 智美「…………」 京太郎「あのー、蒲原さん……ここって」 風に揺られて、キイキイと寂しく歌うブランコの前。無言で立つ智美の背に、おそるおそる声を掛ける。 智美「昔、ここでよく一緒に遊んだ男の子がいたんだー」 京太郎「男の子ですか……」 智美「うん。ちっさい時の私って、嫌なことがあるとすぐに泣いちゃう子で、あの日もみんなに仲間外れにされてメソメソ泣いてたなー」 お前みたいな泣き虫はあっちいけ、と罵られ、石を投げられ。 ――――わたし、なにかわるいことしたのかなー……? ――引っ越してきたばかりで友達は一人もいなくて、だから誰かと仲良くなりたかった。 ――それなのに、どうしてこんな風にイジメられなきゃいけないのだろう。 智美「そんでなー、いつもみたいにメソメソ泣いてた私に声かけてくれたのが、さっき言った『男の子』だったんだ」 ――――よー、なんで泣いてんのー? 振り向いた先にいたのは、いかにもヤンチャそうな金髪の男の子。 この子も自分をイジメにきたのだろうか? ビクビクと怯える様子にバツが悪くなったのか、そっと差し出された飴玉。 ――――こ、これあげるから泣きやんで……泣くなよー。 智美「公園のベンチに座って、二人並んでアメ玉を食べてなー、それがすごく美味しくて笑った時に、その子が言ってくれたんだ……。『笑ってるほうがカワイイぜ。女の子の笑顔のマホーはさいきょうだ、っておとーさんもいってたし!』って……」 京太郎「………………あの、もしかしてそれって」 記憶がフラッシュバックする。 昔、住んでいた家の近くにある公園。 オヤツの飴をポケットに突っ込んで、遊び仲間を捜している途中に見つけた女の子―――― 京太郎「ぇ……ぇえええええっ!?」 智美「ワハハ、やっと思い出してくれたかー?これで完璧忘れられてたら、たぶん泣いてたなー」 十数年振りに『再会』できた喜びに、ほんの少しだけ涙を浮かべて、それでもかつて言われた通りに笑いながら、智美はずっと言いたかった台詞を口にする。 智美「須賀君……私と友達になってください!」 気恥ずかしさに頬を赤らめながら、真っ直ぐに彼を見て告げる。 それを目にしてしまったら、京太郎の出せる返事は一つしかなかった。 京太郎「――――ハイ、喜んで……!」 智美「…………ワハハ、ちょー嬉しいぞー」 ムニッと自分のニヤケ面を手のひらで挟む。 まさしく今、この瞬間、自分は最強の女の子の魔法を使えている。 一ミリの迷いもなく、そう信じることができた。 智美「せっかくの冬休みだし、このまま車で旅行にでもいかないかー?」 京太郎「おー……どこに行くんですか?」 智美「そーだなー……門仲にばーちゃんの家があるんだけどな、そこの離れを拠点にして東京見物っていうのはどうだー?」 京太郎「いいですね、楽しそうだ!」 智美「よーし、そうと決まれば全速前進だー!」 軽快なクラクションを一つ鳴らして、二人を乗せたワーゲンバスが走り出した―――― 一月、冬休み明け ゆみ「正月に蒲原から年賀状が届いたんだが……」 桃子「私のとこにも来たっすよ……」 佳織「ウチにもー……」 睦月「同じく……」 ゆみ「………………」 桃子「………………」 佳織「………………」 睦月「………………」 ゆみ桃佳睦月「どーして年賀状の写真に、蒲原(元部長さん)(智美ちゃん)(蒲原先輩)と須賀君(金髪さん)(須賀さん)が一緒に写ってるんだ(すか)(んですか)?」 ちなみに、この年賀状が元となり、一大抗争とも呼べる少女たちの争いが勃発するのだが、それはまた別の話。
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http //hayabusa5.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1395844319/ 和(改めて考えると須賀くんってかなりの優良物件ですよね) 和(昔は咲さんしか見てなかったので気にしてませんでしたがなかなかのイケメンですし優しいですし) 和(興味なかったからって男性からの告白を断り続けて気がついたらアラサー、婚期ギリギリです) 和(いつもは咲さんが須賀くんにべったりなのでなかなか積極的に行けませんでしたが今日咲さんは遠征中!) 和(このチャンスは逃せません) 和「す、須賀きゅん!」 京太郎「は?」 和(しまったあああああ!緊張のあまり噛んでしまいました、どうしましょう須賀くんに変な目で見られてないでしょうか) 和「い、いえなんでもありましぇん」 京太郎「お、おうそうか」 和(ああああああああああ!!またやってしまいました!しかもせっかく食事に誘おうと話かけたのに会話きれちゃったじゃないですか) 京太郎「あ、そうだ和。今暇か?」 和「ふぇ!?」 京太郎「本当に今日のお前大丈夫か!?」 和「大丈夫です!暇かですね?いやー普段は忙しいんですが、今日だけ!本当に今日だけなら空いてますよ!」 京太郎「そうか、なら飯でもいかねーか?」 和「ふぁ!?」 和(千載一遇のチャンスキター!須賀くんからなんてそんなオカルトありえたんですね!) ~ファミレス~ 京太郎「いやー今日お前に会えてよかったわ」 和(ハァ、つい五分ほど前ならこの言葉でまた我を忘れるほど喜んだんでしょうが) 和(もうその言葉の意味が分かっちゃってるんですよね。いや、それでも嬉しいですよ?) 和(録音しとけば良かったと思うくらいには、でもまさか) 店員「レディースセットお待たせしました」 和(私にレディースセットを頼ませるためだったとは) 京太郎「今日CMやってうまそうだったからぜひ来たいと思ってたんだけど、今日から咲遠征行っちゃってさ」 和「ええ、咲さんから聞いてます」 京太郎「おう、そうか。相変わらず仲いいもんなお前ら」 和「そうですね、今でも頻繁に連絡を取り合ってます」 和(大体は咲さんの須賀くんとの距離が近い自慢ですけどね。威嚇の意味も込めてあるんでしょうが) 京太郎「でも、今日はこれでいいとして明日からどうしようかな。やっぱりコンビニ飯生活になるのかなー」 和「何がですか?」 京太郎「いや、普段は飯を咲が作りに来てくれるんだけどいまあいついな 和「今なんて言いました!?」 京太郎「いま咲いないなーって」 和「その前です!」 京太郎「おいおいあんまでかい声出すと店に迷惑だろ」 和「あ、すいません。私としたことが」 和「で、さっきなんて言いましたっけ?」 京太郎「えーと、確かいつもは咲が作りに来てくれるんだけど」 和「そ、そんなオカルト……」 京太郎「ん?咲が料理ってそんな意外か?」 京太郎「あいつ家庭の事情であいつが作らざるを得なかったから大分慣れてるぞ。ってこれ言ってよかったのか?」 和「それは咲さんから聞いているので問題ありませんがそういうことじゃなくて」 和(まさか咲さんがここまで和了に近づいていたとは、希望的観測でイーシャン悪く見てテンパイ) 和(これは手段を選んでられませんね。甘いですよ咲さん。三シャンテン程度の状況、普段の私なら降りるところですが) 和(人は予想を超えてくる) 和「須賀くん、コンビニ弁当ばかりだと体に悪いですよ」 京太郎「だよなぁ。まあでも咲がいない間は仕方ないしせいぜい一週間だしなんとかなんだろ」 和「一週間もです。不摂生すぎます。お金も馬鹿になりませんし。」 京太郎「お、おう」 和「で・す・の・で、咲さんがいない間は、私が須賀くんのご飯をつくってあげます」 京太郎「え?」 ~スーパー~ 京太郎(で、和がまずは食材を買いに行きましょうと言ったから流れで来ちゃったけど) 和「やはりここは定番の肉じゃがでしょうかいやスッポン鍋なんかもありですね」ブツブツ 京太郎(高校時代の俺なら、和が料理を作りに来てくれるなんて飛び上がって喜ぶレベルだったけどなぁ) 京太郎(なんか最近の和ちょっと怖いんだよな) 和「須賀くんは何がいいですか?」 京太郎「ん?ああ、なんでもいいよ。作ってもらえるだけで十分だし」 和「そうですか。なら店内を回りつつ良さげなものを見つけたらそれを基にメニューを考える感じでいいですかね」 京太郎「おうそれで頼む」 和「とりあえずこんなもんでいいですかね。結構買ってしまいました」 京太郎「そうだな。おっともうこんな時間だしそろそろ帰った方がいいんじゃないか?送ってくぞ」 和「待ってください。明日の朝食はどうするつもりですか?」 京太郎「別に一食くらい抜いても大丈夫だって」 和「何を言ってるんですか。朝食は一日で最も大切な食事なんですよ?」 和「明日は平日ですから仕事もありますよね?しっかりとエネルギー補給しないで働くなんて体に悪いです」 和「ということでお邪魔でなければ今から須賀くんの家に行ってレンジで温めれば済むような準備をしたいのですが」 ~京太郎のアパート~ 京太郎(和が俺の家で料理作るこの光景、昔何回妄想したかな) 京太郎(色々考えることはあるけどとりあえずは素直に感謝しておこう) 和「お味噌汁の出汁はこんなもんでいいですね、あとは鮭に焼き目をつけて、炊飯器のスイッチをいれて」 京太郎(でもやっぱりこいつかわいいよなぁ」 和「」ガタッ 京太郎「どうした!?大丈夫か?」 和(危うくフライパンをひっくり返すところでした。その様子だと声にだしちゃったのに気づいてないみたいですね) 和(全く、不意打ちなんてズルいですよ) 和「ふぅ、とりあえずはこんなもんですかね。後は温めて食べてください」 京太郎「分かった。ありがとな、こんな時間まで」 和「いえ、構いませんよ。って、あれ?」 京太郎「どうした?」 和「あ、あはは。終電なくなっちゃいましたね////」チラッチラッ 京太郎(落ち着け、落ち着くんだ俺!和は今風呂に入ってる、ただそれだけだ。他には何もない) 京太郎(もう遅い時間だからしょうがなく泊まるだけ。他意はない。) 京太郎(女子が泊まるくらい咲がしょっちゅう来てるだろ。その度なにも怒らせるようなことしてないはずなのに朝不機嫌そうだったが) 和「須賀くん」 京太郎「ひゃい!」 和「クス、どうしたんですかそんな素っ頓狂な声出して」 京太郎「い、いや……ってちょっと待て」 京太郎(バスタオル一枚の和……だと?) 京太郎(俺は夢でも見ているのだろうか?脱衣所の扉を少し開けた隙間から、バスタオル姿の和が俺を見ている) 和「ああ、この格好ですか?いえ、よく考えたら着替えがなかったのでどうしたものかと」 京太郎「さ、咲が忘れてったのがあるから持ってくる」 和「すいません。お願いします」 和(咲さんのだとサイズがあいませんが逆に好都合かもしれませんね) 京太郎(で、咲のをとりあえず着てもらったのはいいものの。これはこれでなんか) 和「さすがに胸元がキツイですね」 京太郎(むしろけしからんことになってる) 京太郎(しかもさすがに厳しいのと寝るだけだからいいとブラをしてないから、さらにヤバい) 和「おっと携帯を落としてしまいました」 京太郎(ヤバい。見えそう。谷間だけでなく色々と) 和「須賀くん?どうしました?お風呂入らないんですか?座りっぱなしですが」 京太郎「い、今テレビから目が放せないんだよ」 和「そうですか。なら一緒に見てもいいですか?」 京太郎「あ、ああ」 和「では失礼して」チョコン 京太郎(ちょっ、肩が触れる距離まで来たんだが) 和「なんの番組ですか?」 京太郎「ホラーだよ」 京太郎(正直風呂に入ってる和が気になってあんま内容が入ってこなかったが) 和「須賀くんはホラー得意なんですか?」 京太郎「普通かな。怖いとは思うけど過剰に反応はしない程度」 和「そうですか」 和(ホラーですか、これはもらいましたね) 京太郎「和はホラー強いだろ?ほら、なんだっけ?そんなオカモチだっけ?」 和「現象は信じてませんが映画やドラマなんかでは演出がすごいものもありますからそういうのは怖さを感じますね」 京太郎「そんなもんなのか」 和「そんなもんなんです」 和(ま、本当は全く怖くないんですけど。こう言っておけば) ワハハーマタハイガカッテニウゴキダシタナー ワラッテルバアイカ サトミチャンコワイヨー ウム 和「キャー(棒)」(京太郎に抱きつく) 和(これが可能ですからね) 京太郎「おい、和?」 和「あ、すいません。つい」 京太郎「い、いや構わないんだけどさ、その」 京太郎(おもちが、腕に咲に抱きつかれたときには感じられなかった豊かなおもちの感触が) 和「その?」 京太郎「な、なんでもない」 京太郎(しかも今和はノーブラなんだよな)ゴクリ 京太郎(っていかんいかんなにを考えてるんだ俺は!) 京太郎「風呂入ってくる!」 和「あ、はい」 和(チッ、後一押しだったのに) 和(行ってしまいましたね。須賀くんがいないんじゃホラー見る意味なんてありませんしチャンネル変えましょうか)ポチッ えり「福与アナ熱愛疑惑について続報がきました」 えり「週刊誌に一般男性と一緒に街を歩いているところを撮られた福与アナに直接伺ったところ」 えり「二人は結婚を前提にお付き合いをしているとのことです」 えり「なかなかそういった話題に疎かっただけに反響を呼びましたが、親交の深い小鍛冶プロとしてはどう思いますか?」 健夜「こーこちゃんも私をおいてくんだね裏切るんだね許さないよなにも私に話さずに婚約にこぎつけるなんて」ブツブツ えり「あ、あの小鍛冶プロ?」 健夜「ああ、うん。めでたいと思うよ?私みたいにアラフォー独身にならずにすんで」 えり「し、CM入ります!」 和(小鍛冶プロ……。昔はアラサー独身なんてと少し笑っていましたが、いざ自分がなるとキツイですね) 和(来年で三十路。なんとしても今週中に決めなければ) 和(次はどうしましょうか) 和(さっきの反応を見る限り須賀くんはあまり女性に慣れていない様子ですね) 和(つまり咲さんともそういった行為はなかったとみていいでしょう) 和(須賀くんのことですから自分がやったことの責任はきちんと取るはずです) 和(つまり次に切る牌は既成事実ですね) 京太郎「ふう、やっぱ風呂入るとさっぱりするな」 和「あ、早かったですね」 京太郎「男の風呂なんてこんなもんだろ」 和「で、ですよね」 和(さすがに経験ないから分からないとは言えませんね) 和「そうだ須賀くん、少しお酒飲みませんか?」 京太郎「いいぜ」 和(勝った) 京太郎「おい和、そんな飲みまくって大丈夫かよ」 和「平気ですよ~。これでも結構お酒には強いんですよ?」 京太郎「全然平気じゃねえだろ。麻雀してる時みてえに顔赤いぞ」 和「なんだか暑くなってきましたね」プチプチ 京太郎「落ち着け和!」 京太郎(元から見えそうだったけど今度は完全に見えちゃう!見ちゃだめなのに目が放せない) 和「あれ~?須賀くんなんでそんな慌ててるんですか?」 京太郎「なんでってそりゃお前が脱ごうとしてるからだろ!」 和「いいじゃないですか別に。私は暑いから脱ぐ須賀くんは私の裸が見れる、win-winの関係じゃないですか。」 和「それともこんなアラサーのだらしない体なんて見たくないですか?そうですよね?」 和「やっぱり男性は若い人がいいんですよね?内木さんも若い子大好きって言ってましたし」グスッグスッ 京太郎「いや全然そんなことないし」 京太郎「なによりお前まだ若いし綺麗で変な意味じゃなくてスタイルいいと思うし見たいとも思うけどそうじゃなくて」 和「じゃあどういうことなんですかー!?」 京太郎「お前やっぱ大分酔ってるだろ!?」 和「酔ってませんよ!」 京太郎「分かった分かった。分かったからとりあえず今日はもう寝ろ」 京太郎「俺の普段使ってるのでよければベッドあるけど、流石に嫌だろうから客用のベッド敷くよ」 和「むー。しょうがないですね」 京太郎「ちょっと待ってろ。持ってくるから」 京太郎「よっと、ちょくちょく干してるからダニとかは心配しなくていいぞ」 京太郎「あと飲み終わったやつ片付けるから渡してくれ」 和「は~い」ポイッ 京太郎「うわ待て投げるな!しかもそれまだ少し入ってるやつじゃ」 ドサッビチャア 京太郎「……」 和「わーお布団濡れちゃいましたね」 京太郎「はぁ、もういいや。和は嫌かもしれんが俺のベッド使ってくれ。俺は適当にそこらへんで寝るから」 和「え~?そんなの駄目ですよ。春先とはいえまだ夜は冷えますし。なにより泊めてもらう立場なのに悪いです」 京太郎「毛布は濡れてないから大丈夫だよ。俺のことなら気にすんな。飯つくってもらうんだから。さて、この布団どうしたものか?」 和「あ、そうだ!いいこと思いつきました!」 和「一緒に寝ればいいんですよ!」 京太郎(結局、あの後和に「須賀くんがベッドで寝ないなら私は外で寝ます」とまで言われたので一緒に寝ることになったのだが) 和「」スースー 京太郎(持つかな俺の理性) 京太郎(いや、最初は和を寝付かせたらこっそり出て床で寝ようと思ったんだけどさ) 和「」ギュー 京太郎(和がいまだかつてないほどの握力を込めて俺の手を放さなくて出れない) 京太郎(もちろん力は俺の方があるから出られるけどそしたら起きちゃうだろうし) 京太郎(しかしこのままではただでさえチラチラ見えてたものが寝相で器用にはだけて) 京太郎(モロ見えになった状態の和と同じ布団で一晩すごすことに) 京太郎(しかし和のおもちは相変わらずすげえな。だらしない体とかいってたがとんでもない) 京太郎(大人になってさらに色気が増してるよ。高校の時よりさらに大きくなってるし。咲は照さんともども……。やはり遺伝子か) 京太郎(ヤバい見てると理性が。しかしおもちの引力から目がのがれられない) 京太郎(……寝てるし、ちょっとくらいならばれないかな) 京太郎「」ソー 和「んん、ふふ~。咲さんがいない間は任せてくださいね」スースー 京太郎「」ビク 京太郎「いや、やっぱこういうのはよくないよな。和の信頼を失いたくないし」 京太郎「はぁ俺もがんばって寝よう」 京太郎(政治が悪いが一匹政治が悪いが二匹政治が悪いが三匹おもちが四つ) 京太郎「」スースー 和(あれ?既成事実を作るはずがいつの間にか少しですが寝てしまったようですね) 和(須賀くんも寝てしまいましたか。残念ですね) 和(しかしここまでお膳立てしてなにもしないとはチキンってレベルじゃないですよ。修行僧かなにかですか) 和(まぁ実際にここでなんのためらいもなくおそってくるような人なら私も考えましたが、いくらなんでも本当になにもしないって) 和(はぁ、なんか毒気抜かれちゃいましたし今日のところは諦めて寝ましょうか。明日からまた策を練る必要がありますね) 和「須賀くん、起きて下さい」 京太郎「ん?あれ?なんで和が?」 和「もう忘れたんですか?あんなことまでしたのに」 京太郎「あんなこと!?本当にごめん!記憶がないんだ!悪い!なんでもするから許してくれ!」 和「なんでも?ふーん……なら、責任とってもらいましょうか」 京太郎「ああ、もちろん!って、それはもしかして?」 和「ええ」 京太郎「で、でもその俺たちまだそんな関係じゃ、いやでもそんな関係じゃないのに手を出したのは俺だし」 和「ぷっ、あははは」 京太郎「ど、どうした和?やっぱり俺が」 和「い、いえはは、こんな、簡単なはは、嘘にひっかかるなんて」 和「須賀くん、機嫌を直して下さいよ」 京太郎「俺さっき本気で焦ったんだからな!」 和「まぁまぁ。だから謝ってるじゃないですか。どうぞ、朝食できましたよ」 京太郎「お、サンキュ」 京太郎「いただきます」モグモグ 和「ど、どうですか?お口に合えばいいんですが」 京太郎「」モグモグゴクン 和「あの?」ドキドキ 京太郎「うめえ!すっげえうめえよ!」 京太郎「この味噌汁とか出汁のアクとか雑味とか全くなくて出汁の旨味と味噌の香りだけが感じられるっていうか」 和「そ、そうですか。なら良かったです」 京太郎「いやホント、毎日飲みたいくらいだよ」 和「」 和「しょ、しょうがないですね。まぁそこまで言われたら、私も悪い気はしませんし?毎日つくってあげるのもやぶさかではありませんよ?」 京太郎「お!マジ?」 和「その代わり、さっきの許して下さいね」 京太郎「許す許す!ていうかもう許してる」 和「ふふ、しょうがないですね。じゃあまず二人で住める家を探さないと行けませんね」 和「いえ将来的に子どもができることも考えるといっそマイホームを建てるのも悪くはありませんね。」ブツブツ 京太郎「の、和?」 和「京太郎君は子どもが欲しいですか?団体戦出れるくらい?手牌の数くらい?」 和「ああ、お金は心配しないで下さい。仕事がら結構いいお給料もらってますし」ブツブツ 京太郎「おいどうした和?」 和「ハッ、い、いえなんでもありません」 和(またこんな、どんだけ焦ってるんですか私は。でも今回は須賀くんがあんなこと言ったせいですからね) 京太郎「えっと、なんかよくわからないけどごめんな?」 和「全く、須賀くん、いいですか?さっきみたいなことは誤解を招きますから下手に使わないでください」 和「私だからなんとかなりましたが他の人に言ったら大変なことになりますよ?」 京太郎「お、おう分かった」 京太郎「ごちそうさまでした。さて洗い物して仕事行かないとな」 和「洗い物なら私やりますよ」 京太郎「そこまでは悪いって。お前も仕事あるだろ?」 和「いえ今日は休みなので問題ありません」 和「なんだったら部屋の掃除と、昨日汚してしまったお布団のクリーニング依頼もやっておきますよ?」 京太郎「いやいやホントいいって」 和「では言い換えましょう。昨日泊めてもらったお礼に私が掃除したいんです。お布団を汚して大分迷惑をかけましたし」 京太郎「んー、まあそこまで言うなら」 京太郎「合鍵預けて置くから今日のとこは自由に使ってくれ」 和「ありがとうございます」ニヤリ 和「さて、須賀くんは行ってしまいましたか」 和「とりあえずはお布団をクリーニングに持って行って、帰りにホームセンター行って鍵を複製しましょうか」 和「後は食材を買って……って須賀くんはお昼はどうするんでしょうか?」 和「ふんふむ」ニヤリ ~須賀の仕事場~ 嫁田「須賀、食堂行こうぜ」 京太郎「おう、ちょっと待ってろ今終わらせる」 同僚「おい須賀!お前に電話だ」 京太郎「俺に?なんだろ。はい今変わりました須賀です」 受付「あ、須賀さん、受付で奥さんがお弁当を届けに来てくださいましたよ。あんなキレイな人がなんて角におけませんね」 京太郎「え?俺どくし──」プツ 受付「あ、来たみたいですね」 和「ええ」 京太郎「おかしいと思ったらやっぱり和か」 受付「もう、女性を待たせちゃいけませんよ」 京太郎「すいません。ってその前に奥さんちゃいます。和がそう言ったんですか?」 和「そんなこと言ってませんよ?ねえ?」 受付「え、ええでも指輪をしてたから」 和「これはファッションです」 京太郎「やっぱりお前のせいじゃねーか!」 嫁田「なんだったんだ京太郎……ってもしかして原村さん?」 和「えっと」 京太郎「ああ和、こいつは元清澄時代の俺の友達で現俺の同僚の嫁田」 嫁田「あ、嫁田と言います」 和「あ、すいません覚えてなくて。多分お会いしたことあるんですよね?私を知ってるってことは」 嫁田「あ、いえこれといった面識もなかったんで知らなくて当然です気にしないでください」 和「じゃあなんで……?」 京太郎「そりゃお前は校内では知らないものがいないレベルの有名人だったからな」 和「そうだったんですか?」 京太郎「当然だろ麻雀部が初出場でいきなり全国優勝したんだぞ。校内で大分話題になったろ」 和「ああそういえば」 京太郎「しかも学年トップクラスの美人だったからな。男子人気もすごかったんだぞ」 和「へえ……その中には須賀くんも含まれてたんですか?」 須賀「……ノーコメントで」 和「ではお弁当も渡しましたし帰りますね。お夕飯もつくっておきますからできるだけ残業とか寄り道とかしないでかえって来てくださいね」 京太郎「おお、弁当ありがとな」 和「それでは失礼しました」 嫁田「あ、はい」 嫁田「おい!須賀なんだよ今の会話!まさか同棲してんのか?あの美人と!咲ちゃんというものがありながら!」 京太郎「ちげーよ。まず咲とはそんなんじゃないし、和は咲がいない間飯をつくってくれてるだけだって」 嫁田「本当になにもないのか?」 京太郎「だからないって。安心しろよ」 嫁田「それはそれであの二人に同情するわ」 京太郎「なんの話だよ?」 ~京太郎のアパート~ 京太郎「ただいま」 和「おかえりなさい。お夕飯もうすぐできますよ」 京太郎「そっか。ん?その大量の荷物は?」 和「ああ、私の着替えです。昨日は着替えなくて困りましたからね」 京太郎「ああなるほど。って今日も泊まる気なのか!?」 和「そのつもりでしたが、いけませんか?」 京太郎「いやいや駄目だろ流石に。親御さんは何も言ってこないのか?」 和「最近あまり家に帰りたくないんです。父がしつこくお見合いを勧めてきて」 京太郎「そんな嫌なやつばっかなのか?」 和「いえ、職業柄大企業にもツテがあるのでそういったところの素晴らしい方なんだと思います」 和「でも、やはり会ったこともない人との結婚はあまり想像がつかなくて」 京太郎「まぁなあ」 和「なんて、こんなこと言ってるから独身のままアラサーなんですよね」 京太郎「俺はそんな悪いこととは思わないけどな。お見合いも悪くはないと思うけど、和が望む形で生きるのが一番だって」 和「須賀くん……」 和「須賀くんは、こんな私でも結婚できると思いますか?」 京太郎「あたりまえだって。和くらい美人で家事もできて優しいやつなら男は黙って無いって」 京太郎「和が結婚できないならそれは見る目のない男が悪いんだよ」 和「それじゃ、あなたも同罪じゃないですか」ボソ 京太郎「ん?なんて?」 和「なんでもありません!それより、もう少しだけここにいさせてもらってもいいですか?」 京太郎「しょうがねえな。ただし、親御さんにしっかり連絡しろよ?」 和「はい、ありがとうございます」 和(なんで、私がお見合いを断り続けたか、自分でも異常と分かるほどに拒否反応を示したのか) 和(今やっと分かりました。私はきっと、自分でもわからないうちに、この人に) 和「あの、須賀くん。図々しいですがもう一つだけいいですか?」 京太郎「なんだ?」 和「京太郎くんって呼んでもいいですか?」 和(それから私と京太郎くんの生活が始まりました) 和(なんていうと新婚さんみたいですが、そんなことはなく、彼は相変わらずわのアプローチにも関わらず手を出し続けることはなく) 和(ただ一緒に時間をすごすだけでしたが) 和(お父さんとも話あってしばらくお見合いはなくしてもらいました) 和(これで駄目ならお父さんに従ってお見合いを受けるという約束つきですが) 和(そして時は流れ、咲さんが遠征から帰ってくる日がきました) 和(しかし私は、彼といる幸せばかりに気を取られ、咲さんがドアをノックする瞬間まで、そのことを忘れていたのでした) 京太郎「相変わらず和の作る飯はうまいな」 和「京太郎くんにそう言ってもらえると作った甲斐があります」 京太郎「でも、この味も今日で終わりと思うと寂しいな」 和「え?それってどういう」 コンコンキョーチャンタダイマー 和「っ!咲さん!?」 京太郎「まだ午前なのに。案外帰ってくるの早いのな。ちょっと悪い。ドア開けてくる」 和「待ってください!」(京太郎に抱きつく) 京太郎「和?」 和「開けないでください。もう少し、もう少しだけ、このままでいさせてください」 京太郎「それってどういう……?」 和「ごめんなさい。京太郎くん。でも少しだけこのまま私の言葉を聞いてください」 京太郎(和、震えてるのか?それに眼がいつもの俺をからかうときとは全然違う) 和「ごめんなさい。私、京太郎くんにウソをついてました。」 京太郎「え?」 和「お見合いを断った理由。初対面の人と結婚できないっていいましたが、あれは違うんです。」 京太郎「じゃあなんで」 和「もう時間もありませんし、後悔したくないので言いますね」 和「私は、ずっと、京太郎くんが! ガチャ 咲「もー京ちゃん。まだあんなところに鍵隠してるの?駄目だよ危ないじゃ、な……え?」ドサッ 京太郎「……」 和「……」 咲「のどか、ちゃん?」 和「……ごめんなさい咲さん」 咲「私、帰るね?」 京太郎「え?」 咲「ごめんなさい」ダッ 京太郎「おい!咲!?」 和「ごめんなさい」(京太郎から体を放す) 京太郎「いきなりどうしたんだ?」 和「忘れてください。なんでもありませんから。それより、追いかけてあげなくていいんですか?」 京太郎「……さっきなんて言おうとしたんだ?もしかして?」 和「もしかして、なんですか?告白とでも思いましたか?勘違いも甚だしいですよ。そんなオカルトありえるわけないじゃないですか」 和「さ、早く行ってあげてください」 和(きょ、いえ須賀くんはもう行きましたよね) 和(攻め切れませんでしたね) 和「仕方ないですよね。私は本来ここにいてはいけない存在ですもの。咲さんの大切な人を横取りしようとした卑怯者ですもの」 和「須賀くんには咲さんがお似合いですよ。私なんかよりずっと長い付き合いですもの」 和「あれ?何故でしょう?涙が。グスっ、ヒック、わあああああああああああん」 ~とある公園~ 京太郎「咲!」 咲「……京ちゃん」 京太郎「やっと見つけたぜ」 咲「いつもそうだよね。私が悲しいことがあって飛び出したとき、いつも最初に見つけてくれる」 京太郎「……咲、お前もしかして泣いて」 咲「いつからだろう。私、京ちゃんがずっとそばにいて、ずっと私を守ってくれて……」 咲「ずっとこうして見つけ出してくれると思ってた。それがあたりまえだと思ってた。」 京太郎「咲、お前……」 咲「でも違うんだね。京ちゃんには京ちゃんの人生があるんだよ」 咲「そして私にも私の人生がある」 咲「京ちゃん私たちはもうあんまり関わらない方がいいのかもね」 京太郎(そんなこと……) 京太郎「そんな寂しいこと言うなよ!」(咲を抱きしめる) 咲「……京ちゃん」 京太郎「関わらない方がいいなんてそんなさみしいこと言うなよ!」 京太郎「俺だってお前が飯作りにきて、一緒に食べて、相変わらず嫁田にちゃかされて、そんな人生が当たりまえだと思ってたよ!」 京太郎「お前がいない人生なんて考えられない!だから、そんなさみしいこと言わないでくれよ」ポロツ 咲「……京ちゃん、男のくせに泣いてるの?」 京太郎「そ、そんなわけねえだろ」 咲「クス、そういうことにしといてあげますかね」 京太郎「なんだよその言い方」 咲「京ちゃん、帰ろっか」 ~原村家~ 恵「本当にいいのか、和?お見合いをしろとは言ったが、なにもすぐさま結婚しろとは」 和「いいんです。私が決めたことですから」 和「それに、こうでもしないと諦められませんからね」 恵「まあ、相手さんもお前を気にいってくれてるし、お前がそういうならいいんだが」 和(今私は、式場の手配に教会にきています。お相手は、お見合いで知りあった人) 和(とても優しい方ですし、大企業の重要ポストですし、かっこいいですし、申し分のない方なのに、どうして心が惹かれないのでしょうか) 和(須賀くんよりも、全然すごい方のはずなのに) 和(どうして私は、いまだに須賀くんを忘れられないのでしょうか) ???「あれ?のどちゃん?」 和「?」 ???「やっぱりのどちゃんか!久しぶりだじぇ!」 和「!優希……」 優希「いやーまさかこんなとこでのどちゃんに会うなんて思わなかったじぇ」 和「私もです。優希も結婚式の予定が?」 優希「だじぇ!近いうちに式をあげたいと思ってな」 和「そうなんですか。私も近いうちに」 優希「の、割りに浮かない顔だな?」 和「いろいろあるんですよ私にも」 優希「そんな顔ののどちゃん初めて見たじぇ。でその顔はいつかの私に似てる」 優希「話すだけで楽になるじぇ。辛いのは分かる。私もあいつにふられたときそうだった」 和「それって……」 優希「のどちゃんならさすがに分かるか、でも今はとっくに忘れて新しい恋と幸せにいきてるじょ」 和(もうすぐ式もあげるしな、と付け加えて言った彼女の表情は、確かに陰りがなく、昔見た無邪気な明るい笑顔のままでした) 和「ありがとうございます優希。こんな言い方はおかしいかもしれませんが、失恋の先輩として、相談にのってもらえますか?」 優希「おやすい御用だじぇ!」 和「これが、私のいきさつです」 優希「それで?」 和「それでもなにもこれで終わりですが」 優希「はああああああ?なにが終わりだじぇ!なにも終わってないじょ!」 優希「要するにのどちゃんは終わらせるのが怖いから逃げただけなんだじょ」 和「逃げたなんて、私は咲さんを裏切れなくて」 優希「それが逃げだと言ってんだじぇ!」 和「なにも知らないあなたに」 パァン! 和「……え?」 和(初めて優希に叩かれました。ふざけて須賀くんを軽く叩くことはしょっちゅうでしたが) 和(心優しい優希が本気で人を叩くところなんて、中学時代から今までで初めてです) 優希「甘えてんじゃねーじょ!」 和(ええ、わかってましたよ。そんなこと。優しい咲さんのことです) 和(私が成功しようと失敗しようときっと私よりも泣いてくれるであろうこと。私はただ恐れてただけだということ。) 和「そうですね、優希。確かに私は逃げてました。きっと私もフラれると思います」 和「でもあなたのおかげで、それも悪くないと思えてきました」 優希「のどちゃん。良い目になったな。さっきまでとは違う。みんなとインハイに出たときのようなイキイキとした目」 和「ありがとうございました。優希。これでやっと前に進めます」 優希「健闘を祈るじぇ」 和「ええ。そちらも。式には呼んでくださいね」 ~京太郎のアパート~ 咲「はい、京ちゃん。お夕飯」 京太郎「おう」モグモグ 京太郎「なあ咲、味噌変えた?」 咲「ううん。いつも通りだよ。なんで?」 京太郎「いや、なんか味変わったような気がして」 咲「変な京ちゃん」 咲(あれから私たちは同棲を始めました) 咲(幸せなはずなのに、京ちゃんは時々ドアの方を何するでもなくずっと見ています) 咲(とても悲しそうな目で。誰かが来るのを待ってるかのように) 咲(いえ、誰かなんて曖昧な言い方をしましたが、私にはわかってます。京ちゃんは和ちゃんをずっと待ってるんだと思います) 咲(そして私も、幸せかと言われるとそうでもありません。あの日から和ちゃんへの罪悪感に押しつぶされてしまいそうで) 咲(和ちゃんとほいまだに連絡がとれていません) 咲(どんなことを言われてもいい。許してもらえなくてもいい) 咲(だからもう一度だけ、もう一度だけでいいの、和ちゃんに会って謝りたい) 咲(和ちゃん。今なにしてるの?) 咲(まさかはやまったことをしてなんかないよね?) モーイッポフーミダセル 咲「着信!まさか和ちゃん!?」ピッ 咲「もしもし!和ちゃん?」 ???「久しぶりだな、咲ちゃん。残念ながらのどちゃんではないじぇ」 咲「その声はもしかして」 優希「元気にしてたか?」 咲「久しぶり優希ちゃん。突然どうしたの?」 優希「いや、まあなんというか」 咲「歯切れ悪いね、言いにくいことなの?」 優希「……その、最近のどちゃんから連絡はあったか?」 咲「いや、ないけど。こっちからもちょくちょくかけてみてはいるんだけど繋がんなくて」 優希「そっか」 咲「どうかしたの?」 優希「ごめん咲ちゃん。先に謝っておくじょ。私、咲ちゃんに悪いことしちゃった」 咲「え?」 優希「実はこの前式場で……」 咲「そんなことが」 優希「本当にごめん咲ちゃん。私は咲き咲ちゃんのライバルに塩をおくってしまったじぇ」 咲「謝らないで。優希ちゃん。むしろ感謝したいぐらいもん」 咲「私このままじゃいけないと思ってたの」 咲「このままじゃきっと私も和ちゃんも京ちゃんも、みんなが不幸になってた。だから、そうならないようにきっかけを作ってくれてありがとう」 優希「咲ちゃん……」 咲「私なら大丈夫。どうなろうと、京ちゃんが選んだ結果なら悔いはないから」 優希「ありがとう咲ちゃん」 優希「それでのどちゃんのことなんだけど。この前式場に行った時に聞いたんだが、のどちゃんのお見合い相手との式は明日らしいんだ」 咲「明日?」 優希「うん。だから今まで連絡なかったのならもうすぐのどちゃんがなんらかのアクションを起こすはずだじょ」 咲「うん、分かった」 優希「こんなこと咲ちゃんに言っていいかわからないけどもしあいつがそれを受けてなにかしようと思っても、止めないで欲しい」 咲「大丈夫。分かってる。それが私のできる唯一の罪滅ぼしだもん」 優希「咲ちゃん、ありがとう」 咲「優希ちゃん、連絡ありがとね。ダメだった後は二人で飲みに行こ?」 優希「全くこいつらはなんで二人ともフラれると決めつけてるんだか」 優希「まっ咲ちゃんには私がフラれた時世話になったからな。お安い御用だじぇ!」 ~翌日、結婚式場~ 恵「ついに当日だが、大丈夫か和?」 和「はい」 恵「和、いい表情をしてるな。少し前までは沈んだ表情だったから心配していたが」 和「ええ。素晴らしい友人のおかげでもう迷いはありません」 恵「そうか。じゃあ私は相手さんの方に顔を出して来るから」 和「では私はドレスに着替えに行きます」 恵「和のドレス姿、楽しみにしてるぞ」 和「期待してて下さい」 和(お父さんはもう行きましたよね) 和(ごめんなさいお父さん、咲さん、未来の旦那さん、今日祝福にいらしてくれたみなさん) 和(私はもう後悔をしないと決めたんです) ~京太郎のアパート~ ワタシーマッテタヨー 咲「!きた!和ちゃんからのメール!」 ~京太郎の仕事場~ ゼッタイユーズレーナイコノトキヲマーテタヨー 京太郎「ん?取引先からか?……和!?」 嫁田「おい!どこいくんだよ!」 京太郎「すまん腹が超痛いから早退する」 嫁田「はぁ、その必死な様子、なんかあったんだな?てめえの分も請け負っといてやるからしっかりケリつけとこいよ?」 京太郎「おう!」 ~結婚式場~ 神父「それでは近いのキスを」 和「あのすいません。その前に少し、この場を借りてお話したいことがあるんですが」 神父「今ですか」 和「今じゃないとダメなんです。神父さん、懺悔したいことがあるんです」 神父「……しかし」 恵「私からも頼む」 和「お父さん!」 神父「よろしいのですか?」 恵「娘は今、私が見てきた中でもっとも決意に満ちた表情をしている」 恵「思えば私はいつも娘に迷惑をかけてきた。自分のエゴを押し付けてきた。場にそぐわないことはわかってる。恥知らずも承知だ」 恵「だからみなさん!少しだけ、この馬鹿で恥知らずな私の娘の頼みを聞いてやってください」 和「お父さん、ありがとうございます」 和「お父さんに反発してばかりの馬鹿娘でしたが、お父さんの娘に生まれてきて本当に良かったと思います」 神父「新郎側の了解も得られましたから、少しだけなら構いませんよ」 和「ありがとうございます」 和「まずは祝福に来てくださったみなさんに多大なるご迷惑をかけたことについてお詫びしたいと思います」 ~街~ マケタクーナイアキラメナイホンーネデショウブー ピッ 京太郎「もしもし!咲か?」 咲『うん、そうだよ』 京太郎「このタイミングでってことは」 咲『そう、和ちゃんのこと』 京太郎「そっちにも連絡行ってたのか」 咲『うん、それでお願いがあるの』 京太郎「お願い?」 咲『うん。時間もないから手短に言うね。私は何があろうと二人のことを恨んだりしないから』 咲『だから!余計なことを考えずに京ちゃんの選択をして欲しいの』 京太郎「なんだ、そんなことか」 咲『そんなことって言い方酷くない?』 京太郎「ああ悪い悪い。でもほんと、そんなあたり前のことを頼んできたから」 咲『……そっか。なら大丈夫だね」 京太郎「任せとけ」 ~結婚式場~ 和「私は危うく親友も大切な人も、自分自身も失くしてしまうところでした」 和「幸い、もう一人の親友との偶然の再会のおかげで、自分をとりもどすことができました」 和「でも、今の私は欲張りなので、他の二つも諦めてません」 和「こんなことをこの場でやるべきではないというのは重々承知ですが、お互いの退路を塞がなければまた逃げてしまいそうで」 和「分の悪い賭けですが、私の尊敬する先輩にならって、たまには悪待ちというものをしてみようと思います」 和「……なるほど、普段は絶対にしませんがたまにはいいかもしれませんね、悪待ちも」 京太郎「和!」 咲「和ちゃん!」 和「お久しぶりです。京太郎くん、咲さん」 咲「うえええんのどかちゃん会いたかったよおお」 和「連絡ができずにすいませんでした咲さん」 京太郎「……久しぶりだな和。元気だったか?」 和「ええ。優希のおかげで」 咲「ごめんね和ちゃん、あの時、京ちゃんとの仲を邪魔して。京ちゃんを和ちゃんから奪おうとして」 和「咲さんが謝る必要なんてありません。悪いのは、咲さんと京太郎くんとの間に割って入ろうとした私ですから」 咲「ううん私が悪いの」 和「いえ、私です」 咲「和ちゃんは悪くないよ」 和「咲さんこそ悪くありません」 咲和「「……クス」」 咲「ごめんなさい。そしてこれからもよろしくお願いします和ちゃん」 和「こちらこそすいません。そして末長くよろしくお願いします咲さん」 ???「なんとかなったみたいだじぇ」 ???「ええ。二人とも心優しいすばらな子ですから。それはあなたの方がよく知ってるでしょう?」 ???「まーな。あと先輩、昨日迷ってる時に相談にのってもらってありがとな」 ???「いいってことですよ」 和「さて、京太郎くん。言わなくてもわかるとは思いますが」 京太郎「ああ大丈夫だ。元はといえば俺のせいだからな。けじめはつけるよ」 和「その前に、あの日言えなかった言葉を言わせてください。これを言わないと、私は踏み出せない気がするんです」 京太郎「……スー……ハァー……よしこい」 和「……私はあなたのことが、須賀京太郎くんのことが大好きです。結婚を前提にお付き合いしてください」 ~居酒屋~ 咲「ハァー全く失礼しちゃうよねー。京ちゃんったら。こーんな可愛い二人の告白をどっちも袖にしちゃうんだから」 優希「全くだじぇ。あの犬なんかに咲ちゃんはもったいないというのに!」 咲「しっかし、ビックリしちゃったよね!あのスタッフの対応の早さ」 優希「新郎身内がブーイングを出す前に犬にタキシードを着せて式をやり直そうとしてたからな」 咲「あの勢いに呑まれて終始ポカーンとしてたよね」 優希「あそこまでされたらさすがになんも言えなかったんだろうな」 咲「でも新郎さんがいい人で良かったね」 優希「『僕がなにをしても一度も見れなかった笑顔を和さんの方からださせるなんて芸当されたら、諦めざるを得ないじゃないですか』」 優希「とか言ってクールに去ってったからな」 咲「あ、今のちょっと似てた!」 優希「そうか?『諦めざるを得ないじゃないですか』」 咲「ちょ、笑っちゃうからやめて」 咲「あと意外だったのが!」 優希「そう!」 咲優希「「のど(か)ちゃんのお父さんの対応!」 咲「私結構怖そうなイメージ持ってたからビックリしちゃった」 優希「まさかあんな笑顔で協力してくれるとはな」 咲「最後のほうなんて泣いてたもんね」 優希「もう声をあげて泣いてたな」 咲「仕事仲間の人たちすごい表情してたよね」 咲「いやー、今日は面白いものをいっぱい見せてもらったよね」 優希「そうだな」 咲「このおかげでしばらくは笑いに困ることはなさそうだよ」 優希「咲ちゃん……」 咲「もうなにその顔?ほんとだよ?悔しくなんか…ない、し」 優希「咲ちゃん、私の前でくらい強がらなくていいんだじぇ?」 咲「ゆうきちゃあん。うえええええん。」 ~そして時は流れ~ 咲(あれからかなりの月日が流れました。私はプロ雀士の現役を退いて、専業主婦として生活してます) 咲(今でも麻雀教室なんかにおよばれして打つことはありますけどね) 咲(え?結婚したのかって?ええまあ。危うく独身アラフォーになるとこでしたけど) 咲(色々ありましたけどなんだかんだ幸せに暮らしてます。和ちゃんとも相変わらず仲良くさせてもらってます) 咲(あ、郵便着てる。あ、和ちゃんからだ。ね?) 咲(えーと、なになに) 和『お久しぶりです咲さん。この度はめでたく無事に第二子を出産できました』 和『今度は男の子ですよ。目があの人にそっくりなんですよ、ほら』 咲「あ、写真が入ってる」 咲「ふふ、確かにそっくりだね。これは将来女を泣かせる逸材になるのかな?」 カン! おまけifルート 咲「なんでのどかちゃんがいるのかな?」 京太郎「い、いやこれはだな」 咲「わたしはのどかちゃんにきいてるの。ねえ、なんで?」 咲「なんでのどかちゃんがわたしと京ちゃんのあいのすにもぐりこんで京ちゃんにだきついてるの?」 和「さ、咲さんこれは違うんです」 咲「なにがちがうのかな?のどかちゃんはどろぼうしようとしたんだよね?わたしから京ちゃんをうばおうとしたんだよね?」 咲「京ちゃんはなにもわるくないよ。ぜんぶそこのめすぶたのせいだよ」 咲「かわいそうな京ちゃん。めすぶたにたぶらかされてつみまでかぶらさせられて」 京太郎「おい、咲!話を聞けって!」 京太郎の必死の説得も虚しくついに咲は持っている巨大な凶器を振りかざし、 一歩ずつゆっくりと恐怖を与えるように和へと近づいていく。 和「ひっ」 生まれてこのかた味わったことのないほどの恐怖に和は全身の筋肉が麻痺し、逃げることもできずにいた。 咲「まっててね京ちゃん。いまたすけてあげるから」 また一歩また一歩と距離を詰める咲。 和「い、いやぁ」 恐怖のあまりに失禁までしてしまった和だが、咲は歩みを止めない。 咲「だらしないなあのどかちゃん。だれがそうじするとおもってるの?」 咲「わたしと京ちゃんのあいのすにへんなにおいつけないでよめすいぬさん」 ついに和の真ん前についた咲は張り付いた笑顔のまま鉈を振り下ろした 京太郎「あぶない!」 京太郎が急いで間に割ってはいる。 しかし一旦振り下ろした鉈の勢いが止まることはなく。 頭蓋骨が割れる音が部屋に鳴り響いた。 咲「ふふ、のどかちゃんも少しはいい顔になったね」 咲「差ろその顔じゃあ人の男をたぶらかすことなんてできないよね。そもそも普通の人には顔と認識できないだろうけど」 咲は眼前の原村和だったものに話かけたが応答はない。それも当然である。 目の前にあるのは人かどうかすらさだかでない肉片なのだから。 咲「でももうこれだけ汚れちゃったらここには住めないかな。引越ししないとだね。京ちゃん」 咲はそう言うと頭蓋骨が陥没したもののまだ人の形をなす想い人を持ち上げると部屋を後にした 咲「京ちゃんが浮気する心配もなくなったしこれはこれでいいかな」 も一個カン
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1 : ◆VB1fdkUTPA [saga]:2013/03/07(木) 01 52 52.64 ID 7H4LaEIS0 ヤンデレNo01.独占恋愛型『駄目だよ、京ちゃん。私以外を見ちゃ、だめ』 ヤンデレNo02.自虐型『私は所詮凡人、京太郎君の周りにはもっとええ子がおるやん』 ヤンデレNo03.奉仕型『僕は君の為にいる。だから、君はただそれを感受してればいいんだ』 ヤンデレNo04.ストーカー型『ずっと、見てるっすよ』 ヤンデレNo05.あがり症型『(女性が男性の手を握ってる絵)』バッ ヤンデレNo06.他者依存型『やだ、やだやだやだやだ!もう生意気言わないからっ!だから傍に、傍にいさせて!!』 ヤンデレNo07.愛情独占型『……ダルいけど、言うよ。―――なんで、他の子見てる?』 ヤンデレNo08.愛憎一体型『咲さんは渡したくないのに、なんで貴方なんかに私は、私は、私……』 ヤンデレNo09.魔性型『狭いとこってどうして落ち着くんでしょうね、須賀君?』 ヤンデレNo10.思い込み型『京太郎、死ぬまで一緒って約束したからな……うち、病弱やけど付き合ってな』 ヤンデレNo11.強襲型『犬!せっかくだから私の世話する栄誉をやるじぇ!』 ヤンデレNo12.教育型『ふふっ、君は本当に――――デキの悪い、生徒だよ』 ヤンデレNo13.百合デレ型『あは……部長と一緒に、可愛がってあげます』 ヤンデレNo14.束縛(監禁)型『ぼっちじゃ、ないよ………』 ヤンデレNo15.破滅型『みんな、みんな無くなっちゃえばいいんです』 ヤンデレNo16.愛縛型『おいで、京ちゃん。怖くないよ』 ヤンデレNo17.排除型『邪魔……退いてくれるかな?』 ヤンデレNo18.被虐型『や、ぁあ……も、っと……いじめてぇな……』 etc、etc、etc―――――― ※このスレの女の子は総じて病んでます。 ※男須賀が主人公。 ※死にます、殺されます。 ※ループしてます。 ※キャラ崩壊注意。 【ルール説明】 1、舞台は全国大会。 2、安価指定のキャラクターと接触。 3、安価内容で関わりあう。 4、病むか、でれるか。 5、病みメーターが一定の数値に達するほど女の子の行動がNPC化していきます。 6、期間は14日から~28日間 7、豊音は大天使、はっきり分かんだね 8、オダワラハコネ先生のセーラはぐうかわいい 9、泉ちゃんのお尻スパンキングしたい 10、かわいい(腹パン) 11、クロチャーはホームグラウンド特化型 12、クロチャーの手首はボロボロ
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京太郎「なんだよチクショーまたラスかよ!!」 京太郎「毎回クソ配牌とクソヅモなのは何でなんだよ!! リーチかけても全然和了れねえし!」 京太郎「何で俺んときは最後まで流れるクセに相手がリーチすると一発でツモんだよおおお!!」 京太郎「もうやだこのゲーム!! 帰る!!! 帰るもん!!!」 和「須賀くん、いい加減奇声上げるの止めてください。うるさいですよ」 京太郎「うぅ……和ぁ……」 和「またラスとったんですか? コレで何度目ですか」 京太郎「多分……二桁超える……」 和「……いくらなんでも下手過ぎでしょう……」 京太郎「うぅ……俺の何が悪いんだよ……やっぱ運なのかよ……」 和「ああもう、ウジウジしないでください。男の子でしょう?」 京太郎「男だって泣きたい時はあるさ……」グスッ 和「……はぁ……」 和(しょうが無いなぁ……)スッ カチッ カチッ....カチッ.... 京太郎「……」 カチッ....カチッ.... 京太郎「……?」 和「……」カチッ...カチッ... 京太郎「……何してんだ? 和」 和「牌譜見てるんです。 須賀くんの対局の」カチッ ロンッ 京太郎「あっ! それ! 俺が親ッパネ振った時の!」 和「見ればわかりますから」 京太郎「せっかくジュンチャン三色見えてたのにー!! あークソ! クソぉおおお!!!」 和「……」カチッ...カチッ.... ツモッ 京太郎「あ、それ!! せっかくトイトイ張ったのにダマでツモられたやつ!! マジ死ねよ和了ったやつ!!」 和「……」カチッ...カチッ... カチッ.... ロンッ 京太郎「あーこれも!!せっかくのホンイツがこいつのせいでパーだよチクショウ!!」 和「……」カチッ カチッ... ロンッ 京太郎「とか思ってたらチンイツ振り込むっていうよぉ!! 俺なんかしたか!? なぁ!!」 和「……」カチッ 京太郎「………」 和「……」カチッ 京太郎「なあ和。 もしかして俺、うるさい?」 和「言わないとわかりませんか?」 京太郎「……お茶淹れてきます……」シュン... 和「……」 カチッ...カチッ.... 和「……」カチッ ― 4位 SUGA・KY -8,200 ― 和「………」 京太郎「お茶です……」コトッ 和「あ、どうも」スッ 京太郎「……」 和「ズズッ……」 京太郎「………」 和「……ズズッ……」 京太郎「………あの……」 和「…………ズズッ………」 京太郎「……あの……和さん……」 和「今お茶飲んでるんですが」 京太郎「は、はい、すいません……」 和「……ふぅ……」コトッ... 京太郎「……あ、お茶片付けま」 和「須賀くん」 京太郎「ひっ。 あ、は、はいっ」 和「結論から言います」 京太郎「は……はいっ」 和「あなたは下手です」 京太郎「おふっ」 和「まず、基礎がなってません」 京太郎「がはっ」 和「ドの付く程の初心者丸出しです」 京太郎「うぼぁっ」 和「お茶おかわり」スッ 京太郎「あ、はい」 京太郎「……そんなに酷かったか」 和「ええ。 正直、見てて苦痛でした」 京太郎「そ、そんなにか……」 和「……すいません、少し言い過ぎました」 和「見てて思ったのは、牌効率と捨て牌読みがなってないかな、と」 京太郎「牌効率と捨て牌読みねぇ」 和「須賀くん、好きな役は何ですか?」 京太郎「え? なんだ急に」 和「当ててみせますよ。 タンヤオ、三色、トイトイ、染め。 でしょう」 京太郎「え、凄い。 何でわかったんだ?」 和「さっきの打ち方がそれらの役しか狙ってないってわかるからですよ。あからさま過ぎます」 京太郎「そんなにか」 和「バレバレを超えてスケスケのレベルです」 京太郎「マジかよ。エロいな」 和「ホント、エロエロですよ」 和「ごほん」 和「まぁとにかく、須賀くんの悪いところは最初から決め打ちしているところですね」 京太郎「決め打ちは駄目か」 和「一概には言えませんが、普通は色々な役を視野に入れながら打っていくものです」 京太郎「うーむ」 和「それと、今あげた4つの役は鳴いた場合基本相手にバレやすい役です」 京太郎「そうなのか?」 和「そりゃそうです。鳴いた牌、及びメンツの種類がシンプルですから」 和「タンヤオは2~8までのいずれか。染めは一色ですし、トイトイは刻子だけ。三色は2色も鳴いたら確定ですし」 京太郎「確かに」 和「かと言って鳴かずにタンヤオ以外のこれらの役を作るのは難しいですからね」 京太郎「じゃあどうすりゃいいのさ」 和「ですから、これらの役だけに決め打たず、もっと幅広く役を受け入れやすい様に打っていくのがいいんですよ」 京太郎「ふむ」 和「須賀くんはもう役は全て覚えていますよね?」 京太郎「点数計算はサッパリだけど、流石に役はな」 京太郎「でも……どう打てばいいのかわからなくてなぁ」 和「ふむ」 京太郎「和はどう打ってるんだ?」 和「私ですか? さっき言ったとおりですよ。受け入れを広くしながら打つ様に」 京太郎「だからそこがよくわかんないんだ。どう打てば受け入れが広くなるのか……」 和「……ふむ」 和「わかりました。 では打ちながら説明しましょうか」 京太郎「おっ、そりゃいい」 和「……なにしてるんですか?」 京太郎「俺の膝の上が空いてるぜ?」ポンッ 和「いいから椅子持ってこい」 京太郎「あ、はい、すいませんでした」 カチッ 和「……1位と2位が0の3位2回、4位が21回……」 京太郎「どうよ」 和「どうしようもないですね」 京太郎「辛辣ぅ!」 和「まずは門前、つまり鳴かずに打つことが重要です」カチッ 京太郎「鳴きは禁止か?」 和「そこまでは言いませんが、基本門前が好ましいですね」カチッ 和「現代麻雀だと一発に裏ドラ有りとリーチした時のメリットが高いですから」カチッ 京太郎「無いルールもあるのか?」 和「競技麻雀だとそうですね。一発、裏ドラ、槓ドラ、赤ドラなし。 運の要素を切り捨ててます」カチッ 京太郎「ほぇぇ」 和「私はむしろそっちのルールのほうが好きですけどね」カチッ 和「……っと」 和「須賀くん、問題です。 ここは何を切ったらいいですか?」 京太郎「ん?」 北家 ドラ4m 6巡目 245m3455679p334s ツモ5p 京太郎「むっ……むぅ」 和「始まったばかりなので点数の変動なしです」 京太郎「タンピンを目指すなら……浮いてる9pでいいんじゃないか?」 和「まぁそれも正解です」 京太郎「ということは、和なら何を切るんだ?」 和「私ならこれですね」 カチッ 打:2m 京太郎「2m? 9pを残すのか?」 和「ええ、8pのツモを考慮すると4-7pの受けが残る分こちらのほうが効率はいいです」 京太郎「でもそうなると234の三色は切り捨てに……、あっ」 和「345が残りますね。 もちろん3sが雀頭になってもいいし、鳴いてもテンパイの早い。有効牌の多い選択ですよ」 京太郎「ふぅん」 和「ドラ表示牌が3mということもありますし、さいあく三色が崩れてもタンピンでリーチもいいです」 京太郎「見るのは役だけじゃないんだな」 和「私が見ているのは結局は麻雀の基本ですからね」カチッ 京太郎「麻雀の基本?」 和「なるべく早く、高く、そしてリーチをかけてツモりやすい手を作ることです」 京太郎「メンタンピンでツモ和了りが基本か」 和「まぁ、打ち方は個人と状況次第でいくらでも変わりますけどね」カチッ 京太郎「おっ」 リーチッ 和「ふふっ」 京太郎「見事メンタンピンでツモ和了り。流石は和」 和「三色も裏ドラも乗りませんでしたけどね。 出だしは好調でした」カチッ ロンッ 和「えっ?」 京太郎「はっ?」 ホンイツ、トン、ハク、ドラ1。 ハネマン。 和「………」 京太郎「………」 京太郎「せっかくの満ツモが……」 和「こ、こういう時もあります! ていうか3巡目でこれは読めませんよ普通!」カチッ 京太郎「……やっぱり俺って呪われてるんじゃ……」 和「ま、まだ始まったばかりです! 頑張ってここから逆転しましょう!」カチッ 京太郎「……もう死にたい……」 和「もう! 落ち込みすぎです!!」カチッ 和「んっ……」カチッ 和「須賀くん」 京太郎「はいはい。 問題?」 和「この手牌なら何を切ります?」 東2局 西家 5巡目 ドラ9m 持ち点 2,0700 346789m5p444599s ツモ3s 京太郎「ハネ直くらった後だしなぁ。孤立牌だし5p切ればイーシャンテン……」 京太郎「あ、いやでも基本はタンピンだし……4s雀頭に9s切りとか?」 和「どちらも不正解ではありませんね」 京太郎「……じゃあ和なら?」 和「私は……」 カチッ 打:4s 京太郎「えっ、4s切り? せっかくの暗刻なのに切っちゃうのか?」 和「今回の場合、ドラが9mですからタンヤオに固執する必要はありません」 和「門前を前提とするなら受け入れが多いのは4s切りですね」 和「上手く孤立牌の5pにくっつけば345の三色が見れますし3445sは34sと45sのリャンメンと見る方がいいと思います」 京太郎「でも9mは邪魔じゃないか? ドラとは言え持ってても最終的に切っちゃうようだったら……」 和「ああいえ、この4s打は三色だけじゃなくもう一つの役も見てるんですよ」カチッ 京太郎「? ピンフ三色ドラ1以外に何か……?」 京太郎「……あっ、もしかして……」 和「はい、一気通貫も見てます。シャンテン数なら一通も345の三色も同じですからね」 京太郎「ほぇぇ」 和「跳満を直撃したわけですし、狙うならより高いほうがいいですからね」カチッ 京太郎「なるほどなぁ。 おっ」 ロンッ 京太郎「おーっ、すげえ」 和「よしっ」グッ 和「なんとかトップのままオーラスまで来れましたね」 京太郎「こ、これを勝てば初のトップに……この俺が……!」ガタガタ 和「打ってるの私ですけどね」 リーチッ 和「むっ」 京太郎「うげっ」 和「親リーが入っちゃいましたね」 京太郎「振り込んだらまたラスに……う、うわぁぁ……」ガタガタ 和「落ち着いてください。 要は振らなきゃいいんです」 京太郎「簡単に言うなよ! それができたらこんなに4位取ってねえよ!」 和「あ、す、すいません」 京太郎「ハァッ……ハァッ……」 和(息荒げてまで……) 和「……まぁちょうどいい機会ですし、今度は捨て牌読みをしましょうか」 京太郎「ハァッ……おっ……お願いしまっ……ハァッ……ハァッ……」 和「…………」 和「まずは須賀くん、跨ぎスジと裏スジという言葉は知ってますか?」 京太郎「マンスジなら知ってるけど」 和「帰っていいですか?」 京太郎「冗談っす」 京太郎「それってアレだろ? メンツ構成時に出来る余剰牌のスジ、のことだっけ?」 和「そうです。それぞれの意味は知ってますか?」 京太郎「んっと、裏スジが334とかからの3で……」 和「え?」 京太郎「跨ぎスジが235からの5、だよな?」 和「ぎゃ、逆です逆! 裏スジと跨ぎスジの意味を履き違えてますよ!」 京太郎「え?マジで!?」 和「裏スジと跨ぎスジを逆に覚えてたんじゃ放銃率もそりゃ高くなりますよ……」 京太郎「あ、だーから俺、敵リーチにボンボン振り込んでたのか!! なるほど!!」 京太郎「通ると思った牌全部当たったからな! なーんだ逆だったのか!! 流石は和だ!!」 和「……どうも……」 和「とまぁ誤解が解けたようで再確認しますが」 和「235からの5切りの1-4待ち、568からの8切りでの4-7待ちなど。これらを裏スジと言います」 京太郎「ふんふむ」 和「そして334からの3切りでの2-5待ち、677からの7切りでの5-8待ちなど。これらを跨ぎスジと言います」 京太郎「よくよく考えれば名前の意味のまんまだな」 和「ホント、なんで気づかなかったんですかレベルですよ」 和「基本的に序盤で切られた中張牌……つまりは2~8の牌は裏スジがあり」 和「終盤、及びリーチ宣言牌などは跨ぎスジが多い傾向があります」 京太郎「ほぉ」 和「勿論、これはあくまで傾向なだけであって必ずしもそうだといえるわけではありませんからね?」 京太郎「了解っす。 ……ふむ」 京太郎「……序盤は跨ぎ……リーチは裏……」 和「いや、だから逆です逆」 京太郎「……あれ? ハイ、和先生ッ」バッ 和「どうぞ、須賀くん」 京太郎「数牌の場合はわかりますが、字牌切りリーチの場合はどうなんですか?」 和「ふむ。 良い所に気が付きましたね、須賀くん」 和「一般に字牌切りリーチをする人には次の3つの傾向があります」 京太郎「個人レベルの問題かぁ」 和「1つは、少しでも待ちを読みにくくしたい人の場合」 和「例えば須賀くん、この手牌であなたは何を切りますか?」 京太郎「んっ」 566888m67p11s67s北 ツモ8p 京太郎「こんなの北一択だろ。 イーシャンテンで受け入れも多いのに何処切るんだよ」 和「そうですね。 しかしこの状態から6mを打つ人も少なくは無いんですよ」 京太郎「へ?」 和「理由を説明しましょう」 和「先ほど言った跨ぎスジと裏スジの話は覚えてますね?」 京太郎「ん、ああ。 序盤が裏スジのリーチが跨ぎスジ、だろ?」 和「そうです。 それを踏まえた上でこの手牌を見てみましょう」 566888m67p1167s北 ツモ8p 和「この手から北を打った次巡、8sを引いたとすると……」 566888m678p1167s ツモ8s 京太郎「まぁ、6m切りでリーチじゃないか?」 和「それが妥当ですね。でもその場合このリーチの6mは典型的な跨ぎスジ4-7,5-8m待ちというのが解りやすいんです」 京太郎「あ、そっか」 和「しかしここで6mを先に打ってみましょう」 56888m678p1167s ツモ8s 京太郎「この場合で北切りリーチなら……」 和「直前に6mは切られてますが跨ぎスジとしては取りづらくなりますよね」 京太郎「確かに……これなら6mの裏スジっぽいかも……」 和「このように、少しでも相手に待ちを悟られにくくする為に字牌を最後まで残すタイプがあります」 京太郎「でもコレって牌効率で言えば6m切りの方がいいよな?」 和「そうですね。 でも、捨て牌に迷彩を入れる場合はセオリーとは外れた打ち方をしなくちゃなりませんからね」 和「今回のこの字牌切りリーチは『ツモ和了りしやすくする』というよりは『出和了りを期待する』打ち方に入るかもしれません」 京太郎「ふぅむ」 和「では続いて字牌切りリーチの2つ目の場合」 和「ハッキリ言ってコッチの傾向が1つ目より多いかもしれませんね」 京太郎「というと?」 和「チートイツや国士無双、及び単騎待ちをテンパイした場合です」 和「まぁ、国士無双をテンパイしてリーチにいく人は滅多にいませんけどね」 京太郎「そもそも俺、国士張ったこと無いぞ」 和「というわけで機会の多い単騎待ちとチートイツを考えて行きましょう」 京太郎「チートイなぁ……あれは待ちが読めない役だよな」 和「そもそも単騎待ちというのは一番セオリーに属さない待ちですからね、読むのは難しいです」 和「というか、正直に言うと単騎待ちを読むのは不可能です」 京太郎「えっ」 和「麻雀の性質上、単騎待ち自体があまりリーズナブルとは言えませんからね。 そんなわけで単騎待ちは読めません」 京太郎「じゃあどうすんだ?」 和「まずはチートイツの読みからなんですが、これは有名な説が2つあります」 和「1つ目。 捨て牌に法則性の無いシュンツ系のターツ落としが多い時はチートイツ」 和「まぁ、これはなんとなく解るんじゃないですか?」 京太郎「チートイ狙ってる時に変にシュンツのターツ出来たら困るしなぁ」 和「とは言え、チートイは偶発性の高い役です。 最初からチートイ狙いで打つ人はあまりいないと思いますけどね」 和「続いて2つ目。序盤より後半の方がヤオチュウ牌の捨て牌が多い場合はチートイツ」 京太郎「……そうなのか?」 和「一応単騎待ちは3枚しか和了り牌が無いわけですから」 和「少しでも和了りやすくするためにヤオチュウ牌を手に持って置く傾向はあるとは思いますけど」 和「正直これについてはあまり信憑性があるとは思えませんね。国士無双の可能性もあるわけですし」 和「とまぁチートイツも含め、単騎待ちは『出和了りを狙う』傾向のほうが高いです」 和「だから場に2、3枚切れてる字牌よりもまだ見えていない字牌や老頭牌で待つ方が多いってことですね」 京太郎「字牌の後出しは別の字牌、老頭牌へ待ちを変化したからってわけか」 京太郎「……それだったらダマでもいいんじゃ?」 和「確かにダマのほうが和了る確率は高いですね。 でも単騎待ちは必ずしもダマで行けるとは限りませんから」 京太郎「役なしの場合とか……点数を見て?」 和「そうですね。 凧と麻雀、あがってなんぼですから」 京太郎「じじ臭えこと言うなぁ」 和「お黙り」 和「そして字牌切りリーチする人の3つ目。 完全安牌をテンパイするまで抱えるタイプです」 京太郎「完全安牌?」 和「他家に必ず通る牌のことですね。 字牌なんかはよく完全安牌になりますよ」 京太郎「それって必要無くないか? なんで持っておくのさ」 和「まぁ、言わば『保険』ですね」 京太郎「保険?」 和「1つ想像してみてください」 京太郎「む」 和「自分があとイーシャンテン。 そんな時に他家からリーチがかかりました」 京太郎「うわぁ……」 和「そんな時、なんと自分もテンパイ。 この5sを切ればリーチが出来る……でもその牌は危険牌!」 京太郎「……おえぇぇ……」 和「なんとか通せっ……通ると信じて5s切り!」 京太郎「おおっ!」 和「……結果放銃。 4位に転落」 京太郎「…………死にたい……」 和「あの時もっと早めに5sを打っておけば……5sじゃなくて字牌をキープしとけば……」 京太郎「……死のう………」 和「とまぁ、こんな事にならないように、テンパイ直後まで完全安牌を持つ人も居るわけですね」 京太郎「なるほどなぁ。死にたい」 京太郎「その場合はどう読めばいいんだ?」 和「完全安牌キープの場合だと、持ってるターツのほとんどがリャンメン系です」 京太郎「?」 和「須賀くんはこの手牌からこのツモで何を打ちますか?」 ドラ3m 持ち点18000 346m344556p4588s ツモ北 京太郎「ん……普通ならツモ切りだけど、この北は?」 和「ハイ、完全安牌です」 京太郎「だったら6mかなぁ。 456の三色があるけど46mでの5m待ちは嫌だし、それにドラ筋の6mは危険だしなぁ」 和「ではその後、北を切ってのリーチが入りました」 京太郎「完全安牌の北を切ってのリーチ……あ、それじゃあ」 和「はい。この場合は直前打の6m裏スジである可能性があるんです」 和「裏スジの余剰牌は持ってても要らないものですからね。安全度の高い完全安牌を保持するほうが良いというわけです」 京太郎「んなるほど。 完全安牌切りのリーチは裏スジが有力ってことか」 和「勿論。例外として344というターツに完全安牌を持ってきて4を切る人もいなくは無いですが」 京太郎「それはセオリーとしてはあまり良い選択ではない、と」 和「そうですね。 まぁ、何事も例外はあるということです」 和「これで字牌切りリーチの説明は終わりです。この他にも間四軒というものがあります」 京太郎「なんだそりゃ」 和「手牌に1346とあったら34のターツを固定するために1,6と捨てる。 この捨て方を間四軒と言います」 和「今の例だと1,6捨ては2-5待ちの間四軒ですね」 京太郎「へえ。 それじゃあ2457と有っての2,7捨ても?」 和「ええ、3-6待ちの間四軒です」 和「間四軒には次のタイプしかありません。 1→6。2→7。3→8。4→9の4つだけです。勿論、9→4の切り順も間四軒に入りますよ」 京太郎「逆も同じなんだな」 和「間四軒は意外と無意識にやってしまう捨て方なので、待ち牌を見極められたくない場合は注意が必要ですね」 京太郎「ふんふむ」 和「さて、以上を踏まえた上でネト麻に戻ってみましょう」 京太郎「いやー長かったなー」 和「相手も待ちくたびれてるでしょうね」 和「あ、、ネット麻雀中に少し時間を空けるようなことがあった場合は必ずツモ切りモードにしておくことがマナーです」 和「ほとんどのネト麻には打牌の時間制限がありますが」 和「少しでもスムーズに進める方が自分も相手も気持ちよく麻雀が打てますからね」 京太郎「皆も途中退席する場合はツモ切りをonにして置くようになっ」 北 9p 1m 中 4s 1p 3p 6m 北(リーチ) 和「これが相手の捨て牌ですね」 京太郎「いい感じに字牌切りリーチか。 早速読んでみるか」 和「徹底してオリる場合は現物牌を。 現物牌が無い時は通りそうな牌を考えて打つことです」 和「まぁ、まずはこのリーチからオリてみましょう」 京太郎「おっけおっけ。 よーっし、ぜってー振り込まねえぞー」
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全国大会その他もろもろがええ感じに終わった。 京太郎……郁乃さんがなんやかんやして姫松にレンタル(一ヶ月程)、そんな感じで。 大阪:姫松 放課後……麻雀部部室 恭子「あ、須賀君、よかったら私と対局――――」 洋榎「よっしゃ京太郎ー、洋榎さんがいっちょ揉んだろかー」 京太郎「面白いっ、望むところですよ!」 恭子「ぁ……まあ、次の対局ん時お願いしよかな……」 部活終了後…… 京太郎「さて、このあとどうしようかな……原田さんのとこに顔でも出すか?」 恭子「す、須賀君ー、部活の帰りにどっかでお茶でも―――」 洋榎「おーい京太郎ー、暇してんやったら帰りにどっかで買い食いしよーやー」(ドーン 京太郎「痛重いです洋榎さん……。別に買い食いするのはいいですけど、ちゃんと晩御飯も食べるんですよ」 洋榎「お前はウチのお母さんか!」 京太郎「ハハハ、好き嫌いせず食べないと絹恵さんみたいに大きくなれませんよ、ってね」 洋榎「ちょお待てや、どこ見て大きくなられへん言うた?怒らへんからしょーじきに言うてみ?」 京太郎「ひろえさんにはひろえさんのみりょくがありますよ」 洋榎「その棒読みむっちゃ腹立つわーーー!?」 恭子「…………明日、誘ってみよかな」 朝、通学路…… 京太郎「ふぁ……あ。朝方までネト麻してたから、ちょー眠いー……」 恭子「あ、須賀君や。今日もフラフラしてる……さては、朝方までネット麻雀でもしてた?おーい、須賀く―――」 洋榎「朝っぱらからシケた面してんなー、京太郎ー♪」(ゲシ 京太郎「んぐわっ……!?」 絹恵「お、お姉ちゃん、いきなり後ろから膝かっくんは危ないから……!」 洋榎「それもそやな。いやー、悪い悪い!」 京太郎「誠意の欠片も見えない謝罪ですね……ったく、おはようございます絹恵さん、アタゴアネさん」 絹恵「アハハ、おはよー須賀君」 洋榎「ちょお待てや、なんでウチ後回しで、しかも新種のカルボン酸みたいな呼び方やねん!?」 京太郎「え、可愛いじゃないですか、アタゴアネさん。なんかこー、摂取するといろいろ縮む的な響きがあって」 絹恵「あと、テンションが上がる効果もありそうやね!」 洋榎「なんやとぉー!?」 恭子「アハ、ハ……うん、お昼休みの時に話すればええでな……」 昼休み…… 恭子「お邪魔するでー。えっと、須賀君は――――」 モブC子「あ、末原先輩!す、すみません、須賀君でしたらついさっき、愛宕先輩と一緒に――――」 恭子「…………そう。じゃあ、ええわ」 モブC子「あ、せ、先輩……?」 恭子「――――――――……ぃ、ズルい、ズルいズルいズルいズルい……私の方が……先に仲良くなったのに……」 漫「す、末原先輩が病んでる……」 由子「明日からがんばるんじゃないのよ……今日、今日だけがんばるのよー…!今日をがんばった者……今日をがんばり始めた者にのみ……明日という名のフラグが立つのよー……!」 漫「よくわかりません……」 由子「とりあえず、今の恭子は触るの怖いからソッとしとくのよー。何かあったら、須賀君に全部押し付けるのよー」 漫「尊い須賀さんの犠牲に……敬礼!」 恭子「――――メゲるわ」 その後、病院を抜け出してきた善野監督に「諦めたらそこで対局終了ですよ……」と一筒を渡され、「善野監督……私……須賀君と対局したいです」と涙ながらに訴える恭子の姿があったとかなかったとか。 後日…… 洋榎「なー恭子ー、そろそろウチにも京太郎と対局させてーやー、なー」 恭子「いーやーでーすー。主将はあっちてゆーこたちと対局しといてくださいー」 洋榎「えー!ええやんええやん、ウチも対局混ーぜーてー!」 恭子「主将、須賀君と仲良すぎるからイヤです」 洋榎「そ、そんなにキッパリ言わんでもええやん、ケチンボ!」(グスン… 京太郎「あ、あの、末原さん、せっかくだから洋榎さんとも一緒に楽しく打ちましょうよ、ね?」 恭子「イヤったらイヤや!須賀君、主将にばっかかまうやん!」(グス… 洋榎「恭子がイジワルするー!バーカ、アホー……!」(ウワー 恭子「最初にイジワルしたん主将やないですかー!主将のミニマムペッタンコ……!」(ウエーン 京太郎(ペッタンに関してはどっちもどっちじゃねーかなぁ……) 由子「あそこだけ保育園か幼稚園なのよー」 漫「天下の姫松麻雀部の主将と大将がベソかきながら罵りあってる……」 絹恵「ああいうお姉ちゃんと末原先輩も新鮮でええ……とは言えんか、うん」 郁乃「なになにー?なんか楽しそうやなー、私もまーぜーてー」 恭洋「「代行はあっちいってください(いっといてんか)!」」 郁乃「―――――――ふぇ……」(グス… 由子「意外なとこでメンタル弱かったのよー、代行……」 漫「やれやれ、ですねー」 絹恵「いちおー、お母さんにメールしとこかな。お姉ちゃんが須賀君に泣かされたー、って」 由子「自主的に問題を大事にしないでほしいのよー……」 終われ
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淡「…」 照「…と、言って別れたものの、その後私が京ちゃんに会う事は何年も無かったんだ」 誠子「どうして?」 照「咲が…妹が私と彼が会うのを良しとしなかったんだ。何度かこっそり病室に行こうとしても 、常にアイツが病室に居たし、彼の退院後は彼にベッタリになった」 照「…私は、アイツに責められるのが怖かった。京ちゃんが怪我したのは、紛れもなく私のせい だったから。だから、文句も言わなかった」 照「…いや。それも実は言い訳で、京ちゃんに会うのが怖かったのかも知れない。その証拠に、 公園に行くのを避けるようになった」 照「ついでに、進学校を白糸台に変えた。…まあ、これは私達姉妹の喧嘩が原因で元から危うか った両親の関係に亀裂が入って、別居が決まったって言うのも大きな原因ではあるんだけど」 照「次第に私もアイツとは険悪な関係になっていってね。妹とは、こっちに来るまでずっと険悪 なままだったよ」 照「…だから、アイツが突然一人で東京に来た時は、驚いた」 照「『今までごめん』って、謝られたんだ」 照「京ちゃんが、妹にもさっきと同じ話をしたらしいんだ。話すのは2人目だったらしい」 照「それがアイツに心境の変化を与えたそうだ」 照「…けど、今度は私の方が苛立ってしまって。京ちゃんが傍に居るからって余裕ぶってるのか この野郎って」 照「まるで、完全に妹に京ちゃんを取られてしまったような気になってしまったんだ」 照「…昔話はこんなとこかな」 淡「そんな話があったんだ…」 菫「なるほどね。そんなこんなで変な性格の歪み方はしたが、なんとかグレずに済んだ、と」 照「…」 菫「…ふう。少し疲れたな。照。それで、それが最近の挙動不審にどう繋がってるかだが」 照「ああ、それは…」 菫「長い話は却下だ。三行で話せ」 淡「エエエエエエエエエエエエ!!?」 菫「うるさいなぁ。何を驚いてるんだ淡は」 淡「いや、だって!さっきまでの話聞いて!ええ!?」 尭深「」カチカチ 淡「何スマフォ弄ってるんですか渋谷せんぱああああああああああああああああああい!!?」 誠子「それでさー。うん。うん。だから頼むよー。そっちだって悪い話じゃ…」 淡「いつの間に電話してるんですか亦野せんぱああああああああああああああああああい!!」 照「…」 淡「ああ!ほら!!宮永先輩黙りこくっちゃって…」 照「京ちゃんに会いに行った」 照「告られた」 照「テンパッて逃げた」 淡「本当に纏めちゃった!!」 菫「馬鹿だろお前」 淡「ひっでええええええええええええええええええええええええええ!!!」 照「…」ショボン 菫「…はぁ」 淡「ちょっと!!この人でなしども!!」 菫「なんださっきから五月蝿い淡。その人でなしてのは私達の事か」 淡「あったりまえです!!」 照「…」 淡「あのですねえ!この鬼畜ども!折角宮永先輩が勇気出してこんなヘヴィなはなししてくれた のに、なんですかこの態度!畜生ですか!」 菫「って言われてもなぁ…いや、馬鹿だろ。なんだこの救いようのない青臭いコミュ障の昔話は 。私なら恥ずかしくて墓の下まで持っていく」 淡「っきいいいいいいいいいいいいい!!」 菫「五月蝿いなぁ…」 淡「あああああああああああ!!」 菫「誠子」 誠子「アイアイサー」キュッ 淡「ゴフッ」 菫「もういいぞ。少しは血の気は収まったか?」 淡「血の気が引きました」 菫「よし。…で、誰に頼んだんだ」 誠子「ああ。最近内に良く取材に来る記者に」 淡「…は?」 誠子「スクープやるからって言ったら、今すぐ車で来ると」 淡「へ?」 菫「よし。尭深。清澄までの地図は」 尭深「バッチ」グー 菫「ん。それじゃあ、車来るまでに各自準備しておくように」 淡「…へ?」 菫「…照」 照「…」 菫「照!!」 照「」ビクッ 菫「お前も準備しろ。急げよ。これから清澄へ行くから」 照「…え」 菫「話は分かった。お前の凹んでる理由も分かった。ついでに解決法も分かった。だから解決に 行く」 照「ちょ…」 菫「拒否権は無いぞ。今までお前には3年間散々振り回されてきたんだ。最後の最後で渾身の力 で振り回してやる」 照「ま…」 菫「要は、お前がその『京ちゃん』に想いを伝え返せば全部解決なんだろう?簡単じゃ無いか」 照「ば、馬鹿言うな!そんな簡単な話しじゃ…」 菫「簡単ですぅー。お前が勝手にややこしくしてるだけじゃないか。テンパッて逃げてなければ 今頃ハッピーエンドだろ?浮かれたお前を私がぶん殴ってそれで終わってたはずだろ?なんでこ んな面倒な事にしてくれてるんだ。ふざけやがって」 照「む、無茶苦茶…」 菫「無茶苦茶なのはお前だ。『京ちゃん』の身になれ馬鹿。想い人に一世一代の懺悔したと思っ たらいつの間にか蒸発されて、数年後に奇跡的に出会って思い切って大告白したら逃げられて… 可哀想過ぎて泣きそうになったわ。アホか」 淡「言われてみれば…」 照「うぐ…」 菫「しかも、お前の話だと妹もその子が好きなんじゃないのか?よく今まで無事だったと思うよ 。運の良さだ・け・は!流石だと言っておいてやる。馬鹿」 淡「確かに奇跡ですよね」 照「おふ…」 誠子「先輩。車が来たみたいです」 菫「よし。それじゃあ行くか」 尭深「これ、カーナビです」スッ 菫「ありがとう。借りておくよ」 照「…」 菫「照」 照「はい」 菫「さっきの反論は」 照「ありません」 菫「ん。じゃあ行くぞ」 照「はい」 泡(あの宮永先輩が子羊のようだ…) 菫「じゃあ、誠子。尭深。明日の部活は任せた。私と照はサボりだ」 誠子「了解」 淡「…」 菫「…淡」 淡「は、はい!!」 菫「……お前も来るか?」 淡「…」 照「あの…菫。一応私がメイン…」 淡「…お願いします。私も連れて行って下さい。弘世先輩」 照「淡まで…」 菫「…ふ。いいだろう」 照「…」 菫「行くぞ。こんなのは、要は行動なんだ。さっさと行ってさっさと済ませるに限る。だろう? 照」 照「はい」 誠子「今から行けば、最短で明日の日の出前くらいまでには長野に到達するでしょう」 菫「よし。わかった。なら、現地に着いたら即効連絡して呼び出せ。連絡先は勿論知ってるんだ よな?」 照「さっき聞いたけど…日の出前に連絡って常識的にどうなの」 菫「お前が言うな」 淡「ばっさりだ…」 菫「さて…それでは諸君。…行くぞ!!」 照「…はい」 淡「…はい」 数時間前 長野→清澄の在来線の中 京太郎「…くー…くー…」 咲「…」 優希「…なあ、咲ちゃん」 咲「…なに?優希ちゃん」 優希「…私は、早く告白しちゃった方がいいと思うじぇ」 咲「え…」 優希「…ん。なんでもない」 咲「それってどういう…」 優希「まだ清澄まで時間あるよな?私は寝るじょ」 咲「あ…」 優希「おやすみ」 咲「…」 優希「…すー…すー…」 咲「…」 咲「…私…」 咲「私は…」 咲「…」 ガタン…ガタン…ガタン… 清澄駅ホーム 優希「さて…それじゃあ、私はさっさと帰るじょ。じゃあな、お前ら」 京太郎「…ん。おう…」 咲「うん…」 優希「…はぁ」 優希「じゃーーーあーーーなーーー!!」 京太郎「うおっ!?」ビクッ 咲「きゃっ!?」ビクッ 優希「ったく…な~に二人してテンション下げてるんだか」 咲「…」 京太郎「わ、悪い悪い…ああ、じゃあな。また明日…」 優希「…京太郎。もしかして」 京太郎「?」 優希「…ん。なんでもないじょ」 京太郎「?」 優希「咲ちゃん」 咲「…うん。また明日。ばいばい」 優希「…ん」 咲「…」 優希「…京太郎」 京太郎「なんだよ」 優希「もう暗いし、咲ちゃん一人で帰らすの、心配だじょ。お前、送ってってやれ」 咲「はっ…!?」 京太郎「…分かった」 優希「うっし!」 京太郎「お前はどうすんだよ」 優希「私のような強者はお前ごときの見送りは不要よ」 京太郎「なんだよそりゃ」 優希「ふっふっふ。…じゃあ、任せたじょ」 京太郎「…」 咲「ゆ、優希ちゃん…」 優希「咲ちゃん」 咲「…なに?」 優希「…」 咲「…」 優希「にひっ」 咲「あ…」 優希「じゃあね~~~~」タッタッタッタッタッ 咲「優希…ちゃん…」 京太郎「…」 咲「…」 京太郎「…」 咲「あ、あの…京ちゃ…」 京太郎「行こうぜ。咲」 咲「…うん」 京太郎「…」スタスタ 咲「…」スタスタ 京太郎「…」スタスタ 咲「…」スタスタ 京太郎「…」 咲(…沈黙が、重い。京ちゃんと二人っきりで歩いて、家まで送って貰って…本来は凄く嬉しい はずなのに、居心地が悪いよ) 京太郎「…」 咲(…さっき電車の中で優希ちゃんに言われた言葉が頭に響いてるから?) 咲(…早く告白した方が良いって…そんな、いきなり言われても、私は…どうすれば) 京太郎「…」 咲(それに、京ちゃん、さっきから元気が無い) 咲(ううん。正確には、さっき長野駅のホームでトイレに行ってから。あれから帰ってきた時、 京ちゃん、目に見えて落ち込んでた) 咲「…」 京太郎「…咲」 咲(何かあったの?京ちゃん。電車の発車時間ギリギリに帰ってきて、電車に乗ったと思ったら すぐにふて寝みたいに眠っちゃって…ちょっと怖かったよ) 咲「…」 京太郎「咲?」 咲「あ…う、うん。なに?」 京太郎「お前んち、どっちだったっけって」 咲「え?」 京太郎「いや、お前んち行くの久しぶりだったから。ちょっと記憶曖昧で」 咲「あ、それは…」 咲「…あれ?」 咲「…わかんない」 京太郎「…お前に聞いた俺が馬鹿だった」 咲「むっ…」 京太郎「しっかし参ったなー」 咲「…う」 京太郎「どうすっかね」 咲「えっと…」 京太郎「仕方ねーなー。スマフォで確認すっか。住所は流石に覚えてるよな?」 咲「うん…って、馬鹿にしすぎ!」 京太郎「ははは…で、住所は?」 咲「あ、えっとね…」 咲「ん。この道見覚えあるよ。ここからなら大丈夫」 京太郎「そっか。じゃあもう地図は見なくて大丈夫か」 咲「けど、おかしいなぁ。いつも通ってる道のはずなのに…」 京太郎「それはあれだな。今がもう真っ暗だからだ」 咲「…」 京太郎「夜道は、いつもと違って見えるもんだ」 咲「…」 京太郎「ま、しかたねーよ」 咲「…なんか」 京太郎「ん?」 咲「なんか、優しいね。京ちゃん」 京太郎「…そうか?」 咲「うん。いつもなら絶対私の事からかい倒すのに」 京太郎「…」 咲「…なにかあったの?」 京太郎「…」 咲「その…さっき、の。長野駅で」 京太郎「んー…」 咲「…」 京太郎「まあ、な」 咲「…」 京太郎「…」 咲「…あの」 京太郎「…」 咲「…何があったか…聞いてもいい?」 京太郎「…」 咲「…」 京太郎「…」 咲「…」 京太郎「…どうすっかなー」 咲「…」 京太郎「ん~…」 咲「…」 京太郎「…誰にも言うなよ?」 咲「…」 京太郎「…実は、さっきさ」 咲「…うん」 京太郎「ふられちった」 咲「え…」 京太郎「…さっき、電車の待ち時間に。照ちゃんに、さ。告白しに行ったんだわ」 咲「…」 京太郎「…好きです!っつってさ。そしたら、泣かれちゃった。で、ごめんね!って言われて、 そのまんま新幹線に乗ってっちまった」 咲「…」 京太郎「まさかあんだけ拒否られるとはなー。せめてお友達のままで…くらいだったらまだ良か ったんだけど…いや。これもやっぱヘコむか」 咲「…」 京太郎「以上」 咲「…」 京太郎「…昔から、ずっと好きだったんだ。諦めかけてたんだけど、まさかの偶然の再開で、テ ンション上げすぎちまったんかね」 京太郎「そりゃ冷静に考えて、昔ちょっと一緒に遊んだガキなんかに今更告られてもどーせいっ ちゅーねんって感じだわな」 咲「…なにそれ」 京太郎「…悪い。キモかったか?引いた?」 咲「…」 京太郎「…そりゃそうだよな」 咲「…」 京太郎「…っと。着いたんじゃね?確かここだろ。お前んち」 咲「…」 京太郎「…じゃ、俺は帰るから」 咲「…って」 京太郎「さって…と。それじゃあ、また明日な。咲」 咲「待って…」 京太郎「お、今日はそう言えばまだまだオリンピックやってるよな。よし、ダッサイふられ男は コンビニ寄って菓子でも買って、自棄食いしながら朝まで生観戦…」 咲「待って!!」 京太郎「…どうした?」 咲「…ちょっと、待ってて…!!」 京太郎「…はぁ」 咲「いい!?待っててね!絶対待っててね!!絶対絶対!黙って帰ったら駄目だからね!!」 京太郎「お、おう…」 咲「っ!!」ダッ バタン ダダダダダダ ドタン バタン ドタン バタン ゲシッ ウギャアアアアアアアア!! 京太郎「?」 バタン 咲「おまたせ!!」 京太郎「お、おう…」 咲「あ、あのね!?京ちゃん!」 京太郎「ああ」 咲「…きょ、今日、お父さんお仕事で帰って来れないんだって」 京太郎「え…?けど、お前んち電気点いて…」 咲「…消し忘れて出てっちゃったんだって。置き書きしてあった」 京太郎「いや、それはなんかおかしくな…」 咲「だ、だから!!!」 京太郎「はい」 咲「…せ、折角だから…わ、私。京ちゃんの自棄食いに付き合ってあげるよ」 京太郎「…」 咲「…うちでテレビ、一緒に見てかない?」 京太郎「咲…」 咲「…う、うち、さ。テレビ結構大きいし、お菓子も飲み物もいっぱいあるし、その、私の他に は誰も居ないから大声出しても迷惑にならないし…」 京太郎「…」 咲「え、えっと…あ、そうだ。それに、今から家に帰ってたら見逃しちゃう競技も、今から私の うちで見たらいっぱい見れるし…」 京太郎「…」 咲「…ど、どう…かな?」 京太郎「…」 咲「あ、か、勘違いしないでよ!あくまで京ちゃんの残念会の自棄食いに付き合ってあげるのが メインなんだからね!」 京太郎「…」 咲「…って、わけなんですが」 咲「い、いかがでしょうか…」 京太郎「…はは。ありがとうな。…それじゃあ、お言葉に、甘えちまおう…かな」 咲「…」 京太郎「…なんて」 咲「う、うん!!じゃあ、入って!」グイッ 京太郎「おっとっと…」 長野行きの車の中 淡「」ソワソワ 照「…淡?」 菫「…どうした淡」 淡「えっと…その…ま、まだ長野には着かないんでしょうかね」 照「いや…まだまだだけど」 菫「やっと首都高を出たところだぞ」 淡「うぐぐぐ…」 照「どうしたの?」 淡「えっと…その…お、お小水が…」 照「ああ」 菫「淡。どんまい」 淡「ええええ!?」 菫「我慢しろ。事態は一刻を争うんだ。…最悪、黙っててやるから」 淡「お、鬼!悪魔!人でなし!」 菫「くー…」 淡「うわああああああん!寝たふりしたこの人ーーー!」 照「菫…それは流石に淡が可哀想…」 記者「って言うか、私の車の中でおしっこなんか漏らさないでよ。記事にしちゃうわよ」 淡「そんなんされたら自[ピーーー]るぅううううううう!!」 菫「仕方ないな…記者さん。次のパーキング停まってあげて下さい」 照「お願いします」 記者「もとからそのつもりだわよ…っていうか、もう着くわよ」 淡「ほっ…」 記者「はい、到着。行ってこーい」 淡「ありがとうございますううううう!!」タタタタ 記者「ついでに、悪いけど私もちょっとコンビニ行ってくるわ。眠気覚まし買ってくる」スタスタ 照「…」 菫「お前も行ってこい」 照「えっ…」 菫「気分転換も必要だろ。ついでに適当に菓子でも買ってくればいい」 照「…」 菫「今からソワソワしても、仕方ないだろ?今の内にちょっとリラックスしておきなさい」 照「…うん。じゃあ、ちょっと行ってっくる」 菫「あ、ついでにコーヒー買ってきてくれ。UCCのブラックのな。財布は出すの面倒だからお前 の奢りでいいぞ」 照「…」 菫「なんだその顔。ほら、行け」シッシ 照「…はい」スタスタ コンビニ 照「…菫、最近酷くない?」 照「…えっと。お茶と、お菓子買ってこう。あとは、菫のはなんだっけ。…あれ?ミルク入りの コーヒーだっけ。…あれ」 照「まあいいや。このカフェオレにしよう。ミルクと砂糖たっぷりのほうが美味しいし」 照「淡にもなんか買っていってあげよう。コーラでいいかな」 照「…消臭ガム買ってこう」 照「えっと、あと、あぶらとり紙も」 照「…ん?」 照「…あ。折角長野に行くんだし、時間有ったら久しぶりに実家に寄ってもいいかな。みんなに 昔の話したら、すっきりしちゃった。咲とも仲直りしたい…」 照「…うん。それじゃあ、これを買っていこう」ヒョイヒョイヒョイ 照「あとは…」チラッ 照「…えっ?」 照「そ、そんな…」 照「なんでコレがここに…!!?」 車内 照「ただいま」 菫「おかえり」 照「はい、コーヒー」スッ 菫「サンキュ…って、これ、カフェオレ…はぁ。お前は…」 照「?」 菫「…まあいい。で?随分と大量に荷物を抱えているけど、どうしたんだ?適当に菓子でも…と は言ったが、車内で宴会でも始める気か」 照「ふふ…」 菫「…?久しぶりに笑ったな」 照「見ろ、菫」 菫「んあ」 照「奇跡だ」ガサガサ 菫「なにが…って」 照「じゃーん。東京ばな奈」 菫「…まあ、高速のコンビニって、たまに名物とか置いてるよな」 淡「すいませーん!おまたせしましたー」タッタッタ 記者「おらぁ!!気合入ったぁ!!」タッタッタ 照「2個はお土産。後は私が食べる」モックモック 淡「うわ…また東京ばな奈だ…」 菫「…見てるだけで胸焼けしそうだ。やっぱりブラックが良かったな」 記者「うおおおおおおお!!レッドブル8本効っくぅうううううう!こっから先はぶっとばすぞ おおおおおおお!!」 淡「え…」 記者「振り切るぜ!!!!」 淡「なにを…」 ギュルルルルル ブオオオオオオオオオオオオオオオオン!!! 宮永家 咲「…」 京太郎「…」 咲「…」 京太郎「…」 咲「オリンピック、凄いね」 京太郎「ああ…」 咲「…お菓子、食べないの?」 京太郎「ん…まだいいや」 咲「そっか…」 京太郎「うん。もうちょっとテレビ見るのに集中する」 咲「…」 京太郎「…」 咲「……い」 京太郎「…咲?」 咲「…京ちゃんはズルイよ」 京太郎「…あ、ああ、悪い。お邪魔してる立場なのに、1番テレビ見やすい正面のソファに座っ ちまって」 咲「…」 京太郎「…あれ、そうじゃなくて?」 咲「…」 京太郎「咲?おーい」 咲「…ううん。その通り」 京太郎「ごめんごめん。今どけるから…」 咲「いいよ」 京太郎「え?」 咲「そのままでいい」 京太郎「…」 咲「…」スッ 京太郎「ちょ!?」 咲「…私が京ちゃんの隣に座るから」 京太郎「お、お前…!」ドキドキ 咲「」ピトッ 京太郎「あわわわわ」 咲「…ねえ」 京太郎「は、はい!?なんでしょう!!」 咲「…これって、今どっちが勝ってるの?」 京太郎「え?あ、テ、テレビか!?え、えっとな!これは…」 咲「…」 京太郎「それで、これは…こういうルールで…」 咲(…京ちゃん) 京太郎「で、これはこっちが…………で………」 咲(京ちゃん…) 京太郎「この大会のルールだと……で……………の場合は…」 咲(京ちゃん…!!) 咲(好き) 咲(大好き) 咲(大大大大大好きだよ) 京太郎「……だって…………ってルールで…俺の好きな………は……」 咲(愛してる) 咲(…けど、京ちゃん) 咲(私、私、私…!!) 咲「…」 咲(私は……っっっっっ!!) 咲「…ありがとう」ボソッ 京太郎「…へ?」 咲「…」 京太郎「…咲?」 咲「…」 咲(…私は、京ちゃんには告白しないよ) 咲「…」 京太郎「…寝ちまったのか?」 咲(好きだけど。愛してるけど。告白しないよ) 咲「…」 京太郎「…そっか。寝ちまったか…」 咲(うん。私は…眠ってしまったの) 京太郎「…」 咲「…」 咲(…京ちゃんの好きな人が、お姉ちゃんなのなら…) 咲(私は、京ちゃんに告白しないんだ) 咲(絶対に。絶対に告白してあげないんだ…) 咲(してあげないんだから…) 咲(…京ちゃんが、言っちゃったから悪いんだよ?) 咲(私が、それを知ってしまったから…) 咲(だから、告白しないんだよ) 咲(…京ちゃん、今私が身体を寄せた時に、ドキドキしてくれたでしょ?) 咲(…だから、告白してあげないんだよ) 京太郎「…咲」スッ 咲「…」 京太郎(…止めた。寝てる咲に何しようとしてんだ俺は。頭撫でるつもりか。さっきの今で。… 馬鹿野郎。これ以上屑になる気か俺は) 京太郎「…はぁ」 京太郎(…咲がもたれ掛かってるし。動けないな) 京太郎(…俺も、寝よう) 京太郎「…」 咲(…京ちゃんが、お姉ちゃんを好きだから悪いんだよ) 咲(京ちゃんが、お姉ちゃんに告白したから悪いんだよ) 咲(…京ちゃんの中の私が、お姉ちゃんに負けてたって、知ってしまったから) 咲(…だから、私は、告白しないんだ。私は京ちゃんに告白しないよ。京ちゃんが私に告白して くれるなら応えてあげるけど) 咲(…お姉ちゃんに、負けたまんまじゃ、応えてあげないんだから) 咲(京ちゃんは寂しんぼだから、もしかしたら今私が本気で告白したら、応えてくれるかもしれ ないけど) 咲(…けど、それをしたら、お姉ちゃんにも、優希ちゃんにも顔向けが出来ないから) 咲(…だから) 咲(…だから、ねえ京ちゃん) 咲(…私、馬鹿だよね) 咲(…だけど、決めたんだ) 咲(…京ちゃんを、本気で惚れさせてやるって。お姉ちゃんに勝って、京ちゃんの告白に『しょ うがないなー』言って応えてあげるって) 咲(それまで、京ちゃんの1番はお姉ちゃんで良いよ) 咲(けど、絶対に負けないから) 咲(…負け…) 咲(…怖いけど) 咲(不利かもしれないけど) 咲(今のままじゃ、お姉ちゃんがその気になったらあっという間に終わってしまうけど) 咲(…時間もないし、勝ち目も全然見えないないけど) 咲(…それでも、私はこんな不器用な戦い方をする自分を、誇りに思える。肯定できる。だから 、闘う) 咲(…) 咲(…私) 咲(…馬鹿だなぁ) 咲「…」 京太郎「…すう…すう…」 咲「…」パチッ 京太郎「…すう…すう…」 咲「…京ちゃん?」 京太郎「…すう…すう…」 咲「…寝たの?」 京太郎「…すう…すう…」 咲「…寝たんだね」 咲「…」 咲「…京ちゃん」 咲「…待っててね」 咲「それと」 咲「ごめん」 咲「…あとは」 咲「…ばーか」 咲「…」 咲「…」チュッ 咲「…」 咲「…ほっぺただけは、貰っておくよ」 咲「…」 咲「…」 咲「…」 咲・京太郎「「…すう…すう…」」 未明 清澄 記者「着いたぁああああああああああ!!…すみません。体力の限界ですので休ませて下さい」 菫「…着いた、か。ご苦労さまです。ふう。流石に田舎だけあって清々しい空気だ」ノビー 淡「うぐぅ…」フラフラ 照「ごふぅ…」フラフラ 菫「なんだお前ら。随分とフラフラじゃないか」 淡「だって…あの激しい運転…」ヨロヨロ 照「…」 菫「情けない…これからが本番だというのに…」 淡「化物ですか先輩の体力」 照「えう…」 菫「…照?」 照「うぷ…」 菫「…おい」 照「…ごぷ」 菫「おい!」 淡「ちょ!?まさか…!」 記者「ま、待って宮永さん!せめて車の外に…」 照「えろろろろろ…」ゴッポォォ 記者「ぎゃああああああああああああああああああああ!!!」 淡「うわぁ…」 菫「やっちまいやがった…」ハァ 照「ギボジワルイ」ウルウル 記者「」 淡「高速の車の中であんなに甘いもの食べるから…」 菫「…おい。大丈夫か?」 照「まずい。死ぬ」 菫「参ったな…流石にこんな状態のコイツにターゲットを会わせるわけにもいかないし…」 淡「どこか、休める場所とかありませんかね」 記者「」 淡「…記者さん、真っ白になってます。…すみません。せめて安らかに…」ナームー 菫「この辺はとんでも無い田舎だしな。休憩出来そうな場所あるか?ホテルとか、カフェとか、 マンガ喫茶とか」 照「…無い。間違いなく」フラフラ 菫「むむむ…」 淡「かと言って、宮永先輩のゲロまみれの車の中は…」 菫「却下だ」 照「その辺の道端でも大丈夫…」 菫「却下。虫が多い」 淡「じゃあ、どうしましょうか」 菫「…照」 照「なに…」 菫「…お前の家はどこだ」 照「…?」ポヘ? 菫「いや。お前の実家だよ。こんな時間に訪ねるのもアレだが、実家なら休憩くらい出来るだろ うが」 淡「あ、ナイスアイディア」 照「えー…」 菫「なんだ。嫌そうな顔だな」 照「なんか咲に顔合わせにくいっていうか…」 菫「お前、今更なぁ…」 照「むぅ…」 菫「兎に角だ。この辺は虫多いし、暑いし、私はいい加減一刻も早くクーラーの効いた室内に行 きたいんだよ」 淡「それが本音ですか」 照「菫、酷い」 菫「五月蝿い。いつまでも駄々捏ねてるとそのトコロテンのような頭をシェイクするぞ」 照「ごめんなさい」 淡(この人にだけは、本当に逆らわないようにしなければ…) 菫「分かったな?それじゃあ早く案内しろ。迷ったらシェイクだ」 照「はい」 淡「あの…」 菫「ん?」 淡「記者さんは…」 記者「」 菫「…記者さん」 記者「あ、は、はい…」 菫「今晩中には東京に戻りたいので、車の中綺麗にしておいて下さい」ニコッ 記者「…」 菫「ありがとうございます。では、よろしく。…さ、行くぞ、照」ズンズン 照「はい…」トボトボ 淡(哀れな…って) 淡「…」チラッ 記者「…」 淡「…えっと」 記者「…?」 淡「…よ、よろしくお願いします!」ペッコリン 記者「…」 淡「弘世先輩ー!宮永先輩ー!待ってくださいよー!」トテテテテ 宮永家 京太郎「…ん」パチッ 咲「あ、起きた?」 京太郎「咲…」 咲「おはよ」 京太郎「…おはよう。今何時?」 咲「まだ5時前だよ」 京太郎「なんだよ。ぜんっぜん寝てねーじゃん…」 咲「ふふ…狭いソファーの上に二人だったからね。無理な体勢でよく寝れなかったのかも」 京太郎「」ドキッ 咲「京ちゃん?」ズイッ 京太郎「あ、ああ…なんでもない」 咲「そっか」 京太郎「お、おう…あ、そういえば今日学校じゃん。授業道具取りに行かなきゃ…」 咲「まだ結構時間はあるよ?」 京太郎「そうだけど、風呂入ってねーしシャワーくらい浴びてきてーし」 咲「…うちの浴びてく?」 京太郎「はぁ!?」 咲「…ふふふ。なんちゃって」 京太郎「お前なぁ…」 咲「あはは!」 京太郎「んじゃ、行くぞ。お邪魔しました…」 咲「ちょっと待って」 京太郎「なんだよ」 咲「私、早起きしたから、朝ごはん作ってたの」 京太郎「…」 咲「ついでだから、食べてかない?」 京太郎「…いいの?」 咲「うん。あと、私はもう食べたし、これからシャワー浴びてくるから」 京太郎「…」 咲「私が上がってきたら、一緒に学校行こ?」 京太郎「…」 咲「京ちゃんが家でシャワー浴びてる時間くらい、外で待ってるから」 京太郎「咲…」 咲「それじゃあ、行ってくるね。あ、ご飯は炊飯器から好きなだけよそって良いよ!おかわりも ご自由に!」タタタタ 京太郎「…行っちまった」 京太郎「もう配膳されてるし」 京太郎「目玉焼きに、味噌汁に、肉じゃが?」 京太郎「…ま、いっか。折角だし、いただきますか」 京太郎「…」ゴソゴソ 京太郎「…」パクッ 京太郎「…ん」 京太郎「んまい」モグモグ 京太郎「…」モグモグ 京太郎「…」モグモグ 京太郎「…」モグモグ 京太郎「…」モグモグ 京太郎「…ごちそうさまでした」ペッコリン 咲「ふう。いいお湯だった」スタスタ 京太郎「ぶふっ!」 咲「あれ、どうしたの?京ちゃん」 京太郎「…いや、なんでもないです」 咲「そう?」 京太郎「…」 京太郎(すでに制服だけど…湯上りだから髪濡れてて艶っぺー!?) 京太郎(くっそ…!なんなんだよ昨日から!このぉ…咲の癖にぃい…!) 咲「…ご飯、どうだった?」 京太郎「ん。美味かったよ。ごちそうさま」 咲「そう。良かった。お粗末さま」ニコッ 京太郎「…」 咲「洗い物は帰ったらするから、じゃあ、もう出ようか」 京太郎「ん?あ、ああ…そうだな」 道端 照「あれ…えっと…」キョロキョロ 菫「…」 淡「…」 照「えーっと…こっちがあれで、あっちがそれで…えっと…」 菫「…おい。ジモティ」 照「あれ…」ウロウロ 淡「宮永先輩って…」 照「あ、こ、この道!この道なんだか見覚えがある!」 菫「当たり前だ」 淡「…さっきもこの道通りましたよ」 照「…困った。道が変わってる」 菫「お前の生まれ故郷は不思議のダンジョンか」 淡「ああ。それなんか納得しました」 照「あれ?なんで?あれ?」 淡「迷ったんですね…」 菫「まさか本気で生まれ育った故郷で道に迷う奴が居るとは…」 照「あううう…あ、こ、こっち…かも…」 菫「おい、淡。コインランドリー探せ。コイツ一回乾燥機で回してやる」 淡「落ち着いて下さい弘世先輩」 照「しまったな…どうやって私はこの町で生きてきたんだろう」 菫「本当にな…」 照「…キボジワルヒ」 淡「またですか!?」 菫「ほら、道端行け。幸いこの辺田んぼばかりだ。お前の酸っぱいゲロも肥料になろう」 照「オボロロロロロロ…」 淡「…私、なんだか泣けてきました」サスサス 菫「それにしても…ふう。どうしたものか。このままじゃ我々はこのド田舎で遭難してしまうか もしれん」 淡「人様の街を…」 照「…はぁ。はぁ」 淡「…あ、もう大丈夫ですか?」 照「ん」 淡「…なんか、この人随分大人しくなりましたね」 菫「そうだな。麻雀部では威張り腐ってる癖にな」 照「…」 淡「…」 菫「ん?何か言いたそうな顔だな」 淡「いえ。何も」 菫「そうか」 淡(逆にこの人は何故こんなに理不尽なのだろうか) 照「…っ」ピクッ 菫「…ん?」 淡「どうしたんですか?宮永先輩」 照「…ねえ、何か聞こえない?人の声…」 淡「え?ん…言われてみれば確かに」 菫「おお、丁度いいじゃないか。道を尋ねられる」 淡「あ、確かに」 照「…」 菫「良かった、これで遭難を免れられるぞ。早く道を押しえて貰って宮永家に行こう。流石に歩 き疲れた」 照「…」 淡「そうですね。私もお腹すいちゃいましたし…シャワー借りられないでしょうか」 照「…」 菫「…照?」 照「…この声」 淡「…宮永先輩?」 照「…聞き覚えがある」 菫「は?何を…」 照「あっちだ…!」タッ 菫「あ。おい、照…!」 淡「えっ!?えっ!?えっ!?」 菫「淡!ぼさっとするな!追うぞ!」ダッ 淡「あ…は、はい!!」ダッ 咲「 」 京太郎「 」 咲「 」 京太郎「 」 淡「…そして、勢い良く走っていった割にコソコソ後ろをつけるんですね」コソコソ 照「…うん。あの子達が、妹の咲と、私の好きな人の須賀京太郎君」コソコソ 淡「良くあの遠距離で確認できましたね。今だって顔を確認出来るような距離じゃないのに」 照「二人は私の大切な人だもん」 淡「…そうですか」 菫「…何を話してるかは聞き取れないが随分親しげじゃないか。それにこんな時間に二人で歩い て…もう付き合ってるんじゃないのか?今は朝帰りに的な」 照「」ガーーーン 淡「弘世先輩!」 菫「いや、でもあれはどう見ても」 照「…」クスン 淡「ほらぁ。また凹んじゃったじゃないですかぁ…」 菫「面倒くさい…わかったわかった。まだ付き合ってない付き合ってない」 淡「…」 照「…そう、かな」 菫「ああ。大丈夫だ」 照「」ホッ 淡「信じた!?」 菫「しかし、それでもあの二人が随分仲良さそうなのは間違いないぞ」 照「あわわわわ」オロオロ 淡「面倒な人だなぁ…」 菫「どうする?照。まさかここで会うとは色々と手間が省けた感じではあるが…」 照「こ、心の準備まだ出来てないよ…」 菫「だよなぁ…」 照「ど、どどどどうしよう、ねえ、菫、淡…私…」 淡「それに、妹さんもいる前じゃ、ちょっと…」 照「そ、そうだよ。今は咲が居るし。駄目だよ。それにもし二人が本当に付き合ってたら私…」 菫「ったく…」ボリボリ 淡「…菫先輩?」 菫「…照。お前、そこでちょっと待ってろ」 照「…へ?」 菫「行くぞ。淡」 淡「へ?」 菫「私に考えがある。上手いことあの妹ちゃんをターゲットから引き離すぞ」 照「え?」 菫「照。私達がここまでするんだ。まさか私達の頑張りを無視してこのままウダウダしてるなん て情けない真似で終わるんじゃないだろうな」 淡「ちょ!?強引過ぎませんそれ!?」 菫「大丈夫、別に危害を加えるわけでは無いさ。ただちょっと照の告白までの時間稼ぎをさせて 貰うだけだ」 淡「なんか怖いですよ。言っておきますけど、私は不良の真似事なんて絶対にしませんからね」 菫「馬鹿言うな、私がそんな真似するわけないだろ。なあ?照。お前ならわかるだろ」 照「い、妹に手を出すなよ…!」 淡「ほら、信用されてない!」 菫「あれ…おかしいな」 照「い、幾ら菫だって、咲に危害を加えるなら私だって…」 淡「信頼ってなんなんでしょうか…」 菫「めんどくせえなぁ…」 淡「そういうのが悪いんですって!」 菫「ったく。兎に角、行くぞ。照。このままそこで縮こまってたらもうどうなっても知らんぞ。 どうしても妹が心配なら、告白の結末だけ着けてから来い」 淡「妹さん人質!?」 菫「今まで色んな事から逃げてばかりで、情けないと思わないのか」 照「…」 菫「いじめから逃げて、妹と向き合うことから逃げて、自分の気持から逃げて、挙句に好きな人 からの告白からすら逃げて。次は何から逃げる気だ?麻雀か?学校か?人生か?」 照「…」 菫「一個でも最後まで立ち向かって見ろよ。お前、確かに麻雀はバケモノだけど、このままじゃ 壁にぶつかったらそこで終わるぞ」 菫「…麻雀だけじゃなくてもさ。他になんにも取り柄の無いお前だけど、それでも逃げずに立ち 向かえばなんとか打ち勝てるものだって今までの人生には幾らでもあったはずなんだよ」 照「…」 菫「立ち向かえ。お前がさっき妹を私から守ろうとしたろ。そんな風に立ち向かえ。一人が怖い なら私達に頼れ。お前が望むなら、私達が幾らでも力になってやるから」 菫「お前、長野は敵ばかりで、友達が居なかったって言ってたよな?じゃあ、今はどうだ?私は ?淡は?誠子は?尭深?他の麻雀部やクラスの連中は?」 照「…」 菫「例えどれだけダメ人間のお前でも、友人の私達の力が有れば、お前、幾らでも強くなれるだ ろう?」 菫「だから、安心してぶつかってこい。戦うべき時に戦ってこい。勇気出してやりたい事、やる べき事やって、結果見届けて、自分の限界知ってこい」 菫「失敗したら笑ってやるから。一緒に泣いてやるから。成功したら一緒に喜んで笑ってやるか ら」 菫「…それで、私が困ってたら、お前が私を助けてくれればそれでいい」 照「…」 菫「逃げるな。たまには逃げてもいいけど、今だけは逃げるな。逃げるべき時は逃げていいから 。今だけは絶対に逃げるな」 照「…」 菫「…行くぞ。淡」スッ 淡「あ…」 照「…」 淡「…宮永先輩」 照「…」 淡「私も、戦ってきます」 照「…」 淡「だから、待ってます」 照「…」 淡「…っ!」タタタタタ 咲「それでね、京ちゃん…」 京太郎「…ん?」 咲「…京ちゃん?」 菫「おはよう、少年少女達」スタスタ 淡「えーっと…お、おはようございます」 咲「…?お、おはようございます…」 京太郎「…誰?」 菫「ああ、失礼。私は東京の白糸台高校というところの人間だよ。3年生にして麻雀部部長の弘 世菫だ」 淡「お、同じく1年の大星淡です」 京太郎「…はぁ」 咲「えっ。白糸台って…お姉ちゃんの…」 京太郎「へ?」 菫「その通り。宮永照はうちのエースだ」 京太郎「えっ」 菫「そう。宮永照。…私達は親しみを込めて『照ちゃん』と呼んでいるがね」ニヤリ 淡(嘘ばっかり…) 京太郎「えっ!?」 咲「…何の用…ですか?」 菫「ん?何。大したことじゃない。これは恥ずかしながら今まで知らなかった事だが、我等が絶 対的なエースに、なんと妹さんが居ると言うじゃないか」 菫「あの子は恥ずかしがり屋でなかなか自分の事を話さないから、まあ無理もないのだけれどね 」 咲「…」 菫「それで、今日は君をスカウトに来た」 咲「は…」 京太郎「はぁあああああああああああああああああ!?」 淡(この人、悪役やったら板につくなぁ…) 菫「おや、何を驚いているんだい?」 京太郎「ふ、ふっざけんじゃねぇよ!!」 菫「至って真剣だが」 京太郎「尚更悪い!!」 菫「クククク。おや、何故だい?」 京太郎「何故って…全国前にしたこの時期に、王者がチャレンジャーの戦力引き抜きに来るって 、どういう了見だってんだよ!」 菫「おや、と言うことは君達も全国に出るのか、初めて知ったよ。なにせ我々は王者なので、下 々の者には興味が無い」 京太郎「この野郎…!!馬鹿にしやがって」 淡(初出場校はダークホースになりやすいって、いっつも入念に調べまくってる癖に) 菫「そう言われてもね。本当にこの子の存在を知ったのは最近なんだ」 京太郎「それは残念だったな!行くぞ咲!」 咲「あ、う、うん…」 菫「いいのかい?」 咲「…え、えっと…ごめんなさい…」 京太郎「だとよ!悪いけどお引き取り願おうか!王者様!!」 菫「本当にいいのかい?」 咲「…?」 京太郎「咲!耳貸すな!早く行くぞ」 咲「う、うん…」 菫「君の姉から、君宛てにと言って預かっている物があるんだが」スッ 咲「えっ…」 淡(あ…宮永先輩がコンビニで買ったっていう、妹さんへのお土産が入った袋。いつの間に) 菫「実は私もまだ中身を検めてはいないんだが…君にどうしても渡して欲しいと言われているん だが」 咲「…」 京太郎「咲!」 菫「…私と、サシで話をしないか。丁度すぐそこに神社がある。そこで二人きり、ゆっくりとな 」 咲「…わかりました」 京太郎「咲!」 咲「大丈夫だよ。京ちゃん。この人、雑誌で見たことある。本当に白糸台の部長さんだ」 京太郎「けどよ…」 咲「…お姉ちゃんの名前を出したって言う事は、きっと本気でしたい話があるんだ。危ないこと されるとも思えない」 菫「懸命な判断だ」 淡「ひ、弘世部長…?」 菫「なんだ?淡」 淡「い、いや…なんですかこの状況。サシで話って…私が一緒に来た意味一瞬で無くなっちゃっ たじゃないですか。私どうすればいいんですか」ヒソヒソ 菫「さあね」 淡「絶句です」 菫「…お前、昨日から言いたい事あったんじゃないのか?コイツに」 淡「…へ?」 菫「お前、東京には小学生の時に転校してきたんだって?」 淡「…」 咲「…あの」 菫「…ああ、すまない。ちょっと打ち合わせをね」 京太郎「…咲」 咲「大丈夫だよ。…待ってて、京ちゃん」 京太郎「…わかったよ」 菫「こいつは人質だ。私がこの子に危害を加えたら、コイツをいじめ殺して良いぞ」 淡「ふえっ!?」 京太郎「誰がんな事するかよ!」 菫「ふふ。そうだったか失礼。それじゃあ行こうか」スッ 咲「はい」スッ 京太郎「…」 淡「…」 京太郎「…」イライラ 淡「…」ダラダラ 京太郎「…」イライラ 淡(ど…) 淡(どどどど…) 京太郎「…」イライライラ 淡(どおおおおおおおおおおおおおおおしよおおおおおおおおおおおおおおおお!!!) 京太郎「…チッ」 淡「」ビクッ 京太郎「…あ?」 淡(なんか嫌な予感はしてたんです。確かにしてたんです。宮永先輩の話聴いてた時に、ちらっ と確かに思ってたんです!) 淡(ま、まさか…まさか…まさか…!って!うっすらと嫌な予感はしてたけど、だけど、だけど !顔見た後にああ、やっぱりって思ったけど!だけど!) 淡(まさか、宮永先輩が好きになるような人だし、なんだかんだ言って人畜無害そうな感じの人 だって思ったのに!信じたかったのに!) 淡(それでも一応なんか確かめなきゃいけないと変な使命感覚えてノコノコ付いてきたけど!) 淡(もうずっと前だし、名前も覚えてなかったし、顔もうろ覚えだったし!流石にトラウマ克服 したと思ってたのに!!) 淡(思い出してしまったぁあああああああ!!この人だ!!間違いない!!5年2組の須賀京太 郎だあぁあああああああああ!!!) 淡「」ガタガタ 京太郎「…おい」 淡「ひゃぃっ!!?」ビクッ 京太郎「…なんでそんなビビってんだよ」 淡「す、すみ、すみま、すみません…」ガタガタ 京太郎「…ん?」 淡(ひいいいいいい!) 京太郎「…アンタ、どっかで見たことあるような…」ジーッ 淡「そ、そうですか!?私アナタはじめて見ましたけど!お初にお目にかかると思いますけど! !けど!!」 京太郎「そうだっけ…まあ、確かにそうか。俺に東京の知り合いなんか居ないはずだし…」ブツフ ゙ツ 淡(そしてとっさに誤魔化してしまったぁあああああ!ああああ!だから嫌だったんです!弘世 先輩の鬼!悪魔!弘世菫!あの人が傍にいるならって一緒に飛び出したのに!) 淡(なんで私とコイツが二人きりになる状況作り出してくれちゃってるんですかぁああああああ あああああああ!!?しかも敢えて挑発しまくって印象と機嫌悪くした後に!!) 淡「あわわわ…」ボソッ 京太郎「…ん?」 淡「ひゅっ…」 京太郎「…」 淡(し、しまった…この口癖」。『あわわわ』って、昔からの癖なんだった。下手に使ったら思 い出されてしまう…) 京太郎「あわわわ…って…」 淡(手遅れ!?)ビックーーーン 京太郎「なあ、アンタ」 淡「は、はひ!?」 京太郎「悪い。さっき不意だったから、名前良く聞き取れなかったんだ。もう一回教えてくれる か」 淡「あわわわ…」 京太郎「そう、その口癖。なんか引っかかるっつーか…」 淡「…」 淡(うわああああん!どうしましょう宮永せんぱぁあああああい!!) 淡「あのぉ…」 京太郎「ああ」 淡「そのぉ…」 京太郎「…」 淡「あー…」 京太郎「…」 淡「…」 京太郎「…」 淡「…」 京太郎「…」イライラ 淡(イライラしていらっしゃるぅううううううう!!) 淡(どうしようどうしようどうしようどうしよう) 淡(怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い逃げたい逃げたい逃げたい逃げたい) 淡(嫌。コイツからのいじめが耐えがたくて、わざわざ長野から東京まで転校してきたのに。も う二度とコイツに会う事なんて無いと思ったのに) 淡(いじめられるのが嫌で、地味な外見が原因なのかもって悩んだ挙句に怖い外見になろうとア イツの髪の色真似て染髪までしたのに) 淡(それが…それが、なんでこんな状況になってるの!?) 京太郎「なあ。答えろよ。オイ」イライラ 淡(いやああああああああああああああああああ!!何にも変わってないじゃないコイツ!!) 京太郎「なあ…アンタ」 淡(宮永先輩!コイツ、やっぱり駄目ですって!外見は確かにちょっと丸くなった…ってか柔和 そうな顔にもなりましたけど、やっぱりコイツ悪い奴です!) 淡(正解です!告白に応えないで正解でしたよぉおおおお!宮永先輩がコイツ彼氏としてうちの 部室に連れてきたりしたら、私ストレスで死にますから!!) 京太郎「…」 淡(無言で睨むなぁ!!あああああもうっ!逃げたい!逃げたい!逃げたい!逃げたい!逃げた い!逃げたい!逃げたい!逃げ…) 淡「…逃げ?」ピタッ 京太郎「…?」 淡「…」 京太郎「…なぁ「大星淡です」」 京太郎「…へ」 淡「大星淡です。覚えてませんか?この名前」 京太郎「大星…淡…」 淡「はい。まあ、見た目はこの通り大分大人っぽくセクシーになってたので、外見で気付かれな いのは仕方ないかも知れませんが」 淡「…ってか、タメだし敬語使う必要ないよね。須賀京太郎」 京太郎「おお…ぼし…」 淡「思い出せないって言うなら自己申告すれば良いよ。その瞬間ぶん殴ってやる」 京太郎「…お前、まさか…」 淡「思い出した?」 京太郎「…俺が、昔いじめてた」 淡「正解。じゃあ、殴られても仕方ないって、自分でもわかってるよね?」 京太郎「は…」 淡「[ピーーー]!!」バキッ!! 京太郎「いってぇ!?」 淡「ふん。思わず禁止用語を使ってしまいましたが。まあ、これで私の怒りはわかりましたね? この糞野郎」 京太郎「…大星」 淡「ったく…宮永先輩には、今度プリンの王様プリン・ア・ラ・モード奢ってもらわなけりゃ気 が済みませんよ本当に」ブツブツ 京太郎「…あの」 淡「なんですか?この下郎」 京太郎「げろ…い、いや。その、待ってくれよ。お前には色々言いたい事も聞きたい事もあるん だ」 淡「私には聞きたい事も教えたい事もありませんが」 京太郎「…」 淡「…はぁ。なんですか?一個だけ聞いてあげます」 京太郎「…その、昔は、すみませんでした」 淡「はっ。別に今更貴方に謝罪されても私の心には響きません。自分の気を済ませたいなら、穴 掘ってその中でごめんなさいって繰り返してればいいんじゃないですか」 京太郎「それでも、言わせて欲しいんだ。…あの頃は俺が馬鹿だった。大星が嫌がってるのに、 くだらない理由でお前に嫌がらせ繰り返して」 淡「知りませんよ。いじめっ子の心境なんて聞きたくもありません」 京太郎「…」 淡「…けど、まあ、それでも貴方のお陰であるものもありましたし」ボソッ 京太郎「え?」 淡「…いくつか、教えてあげてもいいって思った事がありました。時間が無いので手短に」 京太郎「時間が無い…?」 淡「1つ。私は強くなりましたよ。貴方なんかよりずっと強く。もう負けません。いつだって相 手になってやります」 京太郎「…」 淡「2つ。けど、私が貴方を許す事はありません。少なくとも現時点では、よっぽどの奇跡が起 こらない限りは」 京太郎「…」 淡「3つ。でもまあ、私が自分より弱い奴を恐れる事はもう無いです。覚えておくといいですよ 。私の心は健全です」 淡「そしてもう1つなんですが…」 淡「…照ちゃんは、我々だけでは面倒見切れません。貴方のせいで無駄に元気なので、とっとと 保護義務を果たして下さい」 京太郎「へ?」 ドドドドドド 照「あわあああああああああああああああああ!!」バキイイイイッ 淡「ごふっ」 京太郎「」 淡「」ドサッ 照「京ちゃん!京ちゃん!?いきなり淡に殴られてたけど、大丈夫!?怪我は無い!?ちょっと 淡!何話してた知らないけど、いきなり殴る事ないじゃない!!」ギューッ 京太郎「へ?へ?へ?照ちゃん?へ?」 照「京ちゃん!京ちゃん!京ちゃん!痛くない!?大丈夫!?ねえ!ねえ!ねえ!ええええええ えええん!!」 京太郎「えーっと…」チラッ 淡「…ふん。なんですか、もう話す事はありません」サスサス 京太郎「…まいったな…」 淡「…。あー、そうだ。じゃあ、もう一個だけ教えてあげましょう。これ、実は今までで一番重 要な話かもしれないんですが」 淡「私はプリンが大好きです。以上。じゃあ、言いたい事言ったのでどっか行きます」ムクッ 京太郎「ちょ、待てって、大星!お前さっきから何言って」 淡「嫌です。…宮永先輩。先輩には良く分かんないかも知れませんけど、私は勇気を出しました 。なんか、今なら矢でも鉄砲でも来いって感じです」 照「淡?」 淡「勇気を出してみた先達としてアドバイスを言うとですね。勇気出すと、すっきりしますよ。 気持ちいいです。モヤモヤが晴れます」 淡「あとは、宮永先輩次第だと思いますんで。じゃあ、頑張ってください」 照「…」 淡「では」スタスタスタ 照「…」 京太郎「…」 淡「あ、ところで須賀京太郎。余計な事言ったらぶっ殺しますから。私には完璧超人なりのイメ ージってもんがあるんで」 淡「…ふんっ」スタスタ 京太郎「…なんも言うなってか」 照「京ちゃん?」 京太郎「…照ちゃん。はは。半日ぶり…くらい?」 照「…うん。そうだね」 京太郎「…まさか、こんな早く再会する事になるとはなぁ」 照「…」 京太郎「…何か、用だった?」 照「…うん」 京太郎「落し物したとか」 照「…ちょっと違う」 京太郎「じゃあ、間違えて誰かのもの持ってっちゃったとか」 照「それもハズレ」 京太郎「忘れ物?」 照「それも、あるかな。でもちょっとハズレ」 京太郎「…」 照「…正解は、迷子。道を間違えちゃったんで、正しい道の歩き直し。そのスタート地点まで、 歩いてる最中なの」 京太郎「…」 照「いっぱい、いっぱい、さ。私、迷っちゃったんだ」 京太郎「照ちゃん、方向音痴だしな」 照「本当だよ。だから、何回だって迷って、変な道行っちゃって。気付いたらいっつも暗い道だ ったり、険しい道だったり、寒い道だったり。心細くていっつも泣いていた」 照「…けど、昨日、今まで歩いて来た道をふと振り返って見て気付いたの。その度に誰かが私の 腕を引いてくれたから、今私はここに居る」 照「行き先もわからずに歩いてきたけど、それでもなんとか道を踏み外さずに引っ張ってもらっ て、ここに居る」 照「さっきの偉そうな奴とか、生意気そうな奴とか、他にも東京には殺し屋みたいな奴とか、お 茶ばっか飲んでる奴とか。後は、咲とか。他にもいっぱい。いっぱい手を引いてくれた」 照「…その中でも、京ちゃんは、私が1番怖い道を歩いてる時に、一緒に歩いてくれてたんだ。 矢が降ってきても、爆弾降ってきても、なんでも無い振りして、傷だらけになって」 照「私、お姉さんなのにいっつも子供みたいにベソかいて道を歩いてたんだ。誰かに手を引っ張 ってもらうまで蹲って。本当、頼りない子だったと思う」 照「…でも、それだけじゃ駄目なんだ」 照「私は方向音痴だから。この先もきっと誰かに手を引っ張って貰わなきゃ歩けない」 照「けど、この先はきっと、自分で行くべき場所を決めなきゃいけないんだ。暗い道を照らすの は、私がやらなきゃ駄目なんだ。歩くのは、自分の意志で歩かなきゃ駄目なんだ」 照「一緒に歩いてく人を支えてあげたい。擦れ違う人を励ましてあげたい。迷った人を照らして あげたい」 照「私を今まで支えてくれてきた人たちのように、今度は私が誰かを支えてあげたい。私が今此 処に在れるように、誰かが其処に在れるようにしてあげたい。その為に、迷子から抜け出したい 」 照「だから私は、戻ってきたの。この、君が居る街に」 照「…ねえ、君。名前、教えてくれるかな。私の名前は宮永照。東京の、白糸台高校に通う3年 生。特技は麻雀。宝物は、妹の宮永咲」 照「…君が、いじめっ子から助けてくれた子」 京太郎「…っ!!」 照「…受かった高校。教えたよ」 京太郎「…お、俺っ!!」 京太郎「…俺は…!」 京太郎「…俺は、須賀京太郎!!長野の、清澄高校に通う、1年生!!麻雀部員だけど、麻雀は 素人。ペットはカピバラ。好きな人は…!」 照「…」 京太郎「好きな人は…!!」 照「…うん」 京太郎「照ちゃんだよ!!!」 照「うん…!」 京太郎「…~~~~っ!!」 照「…やっと、迷子から抜け出せた」 照「やっと、追いついた」 照「やっと、捕まえた」 照「やっと、隣を歩ける」 照「やっと、声を届けられる」 照「ねえ、京ちゃん。じゃあ、忘れ物、返すね」 京太郎「…」 照「…これは昨日の忘れ物だけど…」 照「…『私も好きです』って」 照「『私はすぐ迷子になるので、どうか私が迷わないよう、あなたの手を繋いで下さい』って」 照「『その代わり、私はあなたが道を見失いように、照らし続けます』って」 照「『どうか、私と一緒に道を歩いてください』」 照「『あなたの横で歩かせてください』」 照「『大好きです』って、言い忘れた言葉を。初めて会ったその瞬間から暖めていた想いを乗せ て、あなたに渡します」 照「どうか、受け取ってください。京ちゃん、大好きだよ」 照「付き合おう」 照「…」 京太郎「…ありがとう」 京太郎「改めて…よろしくお願いします…!!」 照「…うんっ!!」 神社の階段のてっぺん 淡「…はぁ」スタスタ 菫「ああ、淡。ご苦労」 淡「ご苦労って…なんですかその、計画通り…!!みたいな顔。なんですか。私の事どこまで知 ってるんですか先輩は」 菫「いやあ、お前の親御さんからな?実は、入部に当たって、相談があったんだ。この部に不良 系は入部することは有り得ないんでしょうかって」 淡「は…」 菫「素晴らしい親御さんじゃないか。お前が小学校の頃いじめられて転校してるのを気にして、 色々手を尽くしてくれてたらしいぞ。お前、ちゃんと感謝しておけよ」 淡「」パクパク 菫「まあ、私も顧問の先生から聞いた話だが。そんな話を聞いたら私も少々気になってな。小学 校やらの経歴は全部調べた。いやあ、まさか照と同じ地域出身だとは。魔境かここは」 淡「あわわわ…」 菫「はっはっは」 咲「…はぁ」 淡「…あ、妹さん…良かった。〆られて無かった」 菫「誰がんな事するか。照の買ってきた土産を二人で食ってたんだ。特等席の神社の階段の上か ら観戦しながらな」 淡「何を買って…って、うわ。東京ばな奈」 咲「…うええええ…京ちゃぁん…」モックモック 淡「しかも泣きながらもすっごい食べてるし」 菫「好物らしい」 淡「はぁ…」 咲「うええええええ…」グスグスモグモグ 淡「なんか、悪いことした気になってくるなぁ」 菫「お前が彼を殴った時、この子も飛び出しそうになってたんだぞ」クスクス 淡「それは…うん。ごめんね」 咲「いいの。全部話はきいたから。私が口挟める問題じゃ無いと思うし…」シクシクモグモグ 淡「…良かったら元いじめられっ子同士仲良くしましょうか。私が元いじめられっ子っていうの は、トップシークレットだけど」 咲「うん…うん…」シクシク 菫「お、もう全部食ったのか」 咲「…うええええ…もっとありません?」チラッ 菫「中々したたかな…照よりしっかりものじゃないか?この子。だがすまん。もう無い」 咲「うえええええええええ…!!」 菫「…はぁ」 淡「…今度、長野代表で東京来るんだっけ?日持ちしないけどマジキチレベルの美味しさって噂 の東京ばな奈バウムブリュレ奢ってあげる」 咲「ううううう…ありがとうございますぅ…」シクシク 菫「…やれやれ」ナデナデ 淡「…あ」 菫「…む?」 咲「…ああぁ~!」 照「…ねえ、京ちゃん」 京太郎「…ん?何だ?照ちゃん」 照「…キス…しよ」 京太郎「…え」 照「…いや?」 京太郎「い、いやじゃない…ってか、その…むしろ嬉しいくらいだけど…その…」 照「?」 京太郎「は、恥ずかし…」 照「ふふ…」 京太郎「わ、笑うなよ!」 照「可愛い」 京太郎「うう…なんだこれ。いきなり照ちゃんが大人になったみたいだ」 照「何言ってるんだ。私は京ちゃんより、2つもお姉さんなんだぞ?ちゃん付けじゃなくて、照 さんって呼ぶべきだ」 京太郎「…照」 照「な!?」 照「なわわわわわ!?きょ、京ちゃん!?今、な、なんて…」 京太郎「付き合ってるんだし、呼び捨てでも良くねぇ?」 照「こ、この!馬鹿!」 京太郎「あははは!ごめんごめん。でもこんなんで動揺するようじゃまだまだだーね」 照「もうっ!もうっ!もうっ!」ポカポカ 京太郎「いって!あは!ごめんって!」 照「~~~~~っ!」 京太郎「で、えっと、なんだっけ。えーっと…」 照「…」 照「…キス…だよ」スッ 京太郎「…へ?」 照「キス」 チュッ 照「…」 京太郎「…」 照「…」 京太郎「…」 照「…」 京太郎「…」 照「…」 京太郎「…」 照「…ぷは」 京太郎「…」カチコチ 照「…ふふふ。びっくりした?」 京太郎「…」 照「あー。これは完全に固まってるな。ふふふふふ」 京太郎「…」 照「どうだ。見たか。これが年上のお姉さんの実力だ。まいったか」 京太郎「…ハッ」 照「…ふふ。気付いた?京ちゃん」 京太郎「あ、あわわわわ」オロオロ 照「ふふふ。可愛いなぁ」 京太郎「て、照ちゃ…照ちゃん!」 京太郎「うわ…うわ…やっべえ…俺、今照ちゃんとキス…うわ…うっわ…やべ…うわ…顔あっつ …」 照「あはは。その反応、初キスだったかな?」 京太郎「な、なんだよ、その余裕っぽい反応!まさか照ちゃんコレが初じゃない!?」 照「いや、コレが初だよ」 京太郎「へ?」 照「…ふふふふ。顔アッツイ…駄目だ。もう立ってられない」チジコマリ 京太郎「…」 照「あうううう…恥ずかしい…」 京太郎「…えっと…」 照「マズイ。死ぬ。恥ずかしくて死ぬ。あう。あうううう…」キュー 京太郎(この生き物かわええ…) 照「と、ところで、京ちゃん?」クルッ 京太郎「あ、は、はい」 照「…は、初キス…どうだった?」 京太郎「どうって…」 照「その…き、気持ち良かったとか。男の子の唇って思ったより弾力有ってびっくりしたとか。 そういうの」 京太郎(そういう感想だったのか照ちゃんは) 京太郎「…あー。そうだなぁ」 照「うん。正直に言って」 京太郎「…まず、照ちゃんが近づいて来る度にどんどんいい匂いがして」 照「うん」 京太郎「すっげー胸がどきどきして」 照「うん」 京太郎「唇が触れた瞬間に、ものすごい柔らかい感触が唇を擽って」 照「うん」 京太郎「照ちゃんの体温を、今まで感じた事が無いくらい身近に感じられて、嬉しくなって」 照「…うんっ!」 京太郎「…」 照「…」 京太郎「…」 照「…京ちゃん?」 京太郎「…ほんのり、ゲロ臭かった」 照「…」 京太郎「…」 照「…」 京太郎「…ごめん」 終わりっ!!
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恭子「そういや須賀君、ちびっと聞きたいことあるんやけど」 京太郎「え、なんですか?」 恭子「私らと対局した時、やたらとチャンタ和了りしてたでな。漫ちゃんに振り込んだ時も、ヤオ九牌の一盃口の九待ちやったし」 京太郎「はい、そうでしたね」 恭子「な、なあ、それってもしかして赤木プロのチャンタ戦法リスペクトなん?実はな、私も前に験かつぎに真似してみたことあってな、もし須賀君もなんやったらお揃いやでな……!」(ワクワク! 京太郎(気のせいだよな、なんか末原さんに犬の耳とか尻尾が見えるなんて……) 京太郎「とりあえず違いますよ……あの人のやり方なんて、俺には真似できません……」 恭子「あ……そうなん。やっぱ違うんな……」(´・ω・`)ショボン 京太郎(……なんかキュンと来たCVカッパのカーたん飼い主)ざわ……ざわ…… 恭子「じゃあ、ヤオ九牌の和了り多いんは偶然なん?」 京太郎「うーん……偶然かどうかって聞かれると…………半ば必然だったんじゃって気もしますけど」 恭子「ん……どういう意味?」 京太郎「だってほら、俺も雀士の端くれですから」 恭子「うん?」 京太郎「えっと……雀士とかけてチャンタ戦法と解きます」 恭子「その心は?」 京太郎「は…………端(一・九)くれ……なんちゃってー」 恭子「メゲるわ……」 京太郎「…………すみませんでした」 京恭「ハイ、ありがとうございましたー!」 絹恵「アハハハハッ、端くれでヤオ九牌くれとか、アハハッ、アハハハハッ!」 洋榎「おもんないぞー、ひっこめー!」 漫(なんか主将の野次に感情こもってる気がする……) 由子(いろいろと難しい年頃なのよー)